ZOOM G5n & G1X FOUR で音作りの幅と操作性向上したレビュー

今年も早12月ですな。あっという間だったような、永かったような、至極稀有で不思議な年になってしまいましたが、しょんぼりしても仕方がないので前だけ向いて生きMAX。

さて、先日の「10年前の激安マルチエフェクターZOOM-G1uでの音作りレビュー」で改めて音質を色々調べたりセッティングを考えるきっかけもあり、追加で同社 G1X FOUR を導入し暫くは G5n と2台体制でいこうと思った話を。


G5n+G1X FOUR


ズームマルチエフェクターG5n

いまぼくはZOOM-G5nを使っています。5年近く前の2016年1月に発売された大きめマルチですが、エフェクトリストの音色的な不満は特にありませんし、PCアプリでの使い方も簡単でこれ一台でまとめて管理できるので大変重宝しています。というか今は全くコンパクトエフェクターを集める気になれません苦笑。あの伝説級ギタリスト・スティーブヴァイ氏もフルラックシステムからマルチエフェクターオンリーに移行し話題となりましたし多分同じ気持ちのはず笑。


zoom g5n


優秀な良点

おすすめしたい良い点を挙げ始めればキリがないのですが、まとめて言えばどのエフェクトモジュールも完成度高く成熟の域にいる魅力的な美味しさと最大9種直列繋ぎのパッチをまとめて管理できるマルチの便利さが病みつきなのです。32bitの信号処理はBOSS GT1000等よりは劣るものの、まだ今の主流だし、コンプレッサー等ダイナミクス系もディストーション等歪み系もクオリティ高く種類豊富。調整したいパラメーターを網羅しつつ、大胆大雑把に調整しても美味しいポイントを外さず破綻しない絶妙なレンジと効き具合。定番有名エフェクターをモデリングした各機種もきちんと使えるレベルで再現。ベーシックなものはもちろん、例えばB'z松本さん等が好きそうなザクザク系オーバードライブからメタル系に必須のスーパーハイゲイン系まで網羅。アンプモデル+キャビネットもチョイスが大変なほどのラインナップで様々な方々の好みに完全対応。コーラスやディレイ等のモジュレーション系や反響系も解像度高いものが充実で(SFX系は全く使いませんが笑)、特に「HD Hall」は響きがクリアで長く滑らかに溶ける秀逸リバーブ。パッチ切り替えの音切れタイムも最小限。

オーディオインターフェイスも付いてるしパソコンソフト Guitar Lab でのモジュール調整やパッチ管理の使い方ももぱっと見の直感で解る扱いやすさ。プロセッサーの消費状況や9ブロック全てのモジュール設定や並べ方も一覧出来る上、ファームウェアのアプデや、新規追加のエフェクトやパッチ等もここに通知されそのままダウンロードできるので更新を見落とす事もありません。


ギターラボ画面

G5nの筐体には、

アウトプットブースター&トーン

という物理ツマミが2つ付いていて、パッチパラメーターでの音作りとは別に最終出力の段階で使用アンプに応じて随時微調整できるのも超便利。トーンは主に高音帯域の抜け具合。ブースターは例えばJC120等トランジスタアンプを使う際にお好みで真空管ぽさを加え手軽にチューブライクなベース音色にする事ができます。(※その他機種はエフェクトモジュール版OPB&TONE使用で再現可能。)

ちなみに個人的に

歪み系エフェクトでオススメ

なのは、

あたり好きだし単体でも使えるクオリティの高さと美味しいポイントをおさえてる絶妙な匙加減の良い出来だと思うのでぜひ試して欲しいです。(※全部本物と比較検証したわけじゃないのでオリジナルと遜色なく同じという意味ではないです悪しからず。)ブースターやドライブ系が気持ち良いとそれだけでも納得しちゃうよな。



残念な欠点

ただ、ウィークポイントがないでもなく。DSPプロセッサー(処理能力)が少々カツカツで、組み合わせによってはオーバーワークで使用できない事があります。特に先述のお気に入り「HD Hall」などはDSP [26%] も食うので、MAX:100 のDSP中1/4以上をリバーブだけで使用してしまう事になります苦笑。(※一番重いのが最近追加されたアンプシミュレーター「KRAMPUS」の [42%]!)まあその他多くのベーシックなエフェクトは大概1桁台とかなのでどこかで少々妥協すればどうにでもなるちゃあそうですが、もう少し余裕あると組み合わせ無限大なので弱点というか非常に惜しい点。

あとバリエーションのスタンバイや複雑な音色作成時にもう一声欲しくなる最大9個のエフェクト枠や、各個エフェクトをオンオフして演奏操作するストンプモードの際は物理的にスイッチャーが4個なので左右スライド選択が必要になる場合があるのと、当然だけど、エクスプレッションペダルもいっこ笑。



んでそんな不満や不安を解消すべく

G1X FOUR 追加導入

これで全て解決できるじゃんと気づいてしまい購入したわけです♪  2年近く前の2019/1月に発売されたG5nより後発の小型マルチです。さっそくPCに繋いでアップデート&ギターラボでインストールしておくエフェクト選択など含めもろもろ詳細設定。


g1x four

まず基本的に、この辺りの時代のZOOM社製マルチエフェクター(G1X FOUR・G3n・G3Xn・G5n)は内蔵エフェクターは流用(あるいはほとんど同じモデリング)で、情報処理能力(同時使用数やDSPやルーパー時間等)と筐体構造&材質感で差別化しているので、多少ラインナップが減っていたりすることはあっても、個別エフェクトの音色的にはほぼ同じと言え、同シリーズを使った事がある人なら効果もかかり具合もイメージしやすく、オペレーションも概ね共通しているので、音作り面でも迷いも戸惑いも生じませんので極めて扱い易く効率的です。 そして…

この2台をつなげる事で弱点を補い克服してしまおうというわけです!

…まコンパクトタイプの直列繋ぎと同じ発想をマルチでやっちゃおうて魂胆です照。てことでこの2台つなぎの大きなメリットを具体的に挙げご説明します。



プロセッサーDSP節約【効果1】

DSPとはマシン全体のあらゆる機能に関わる演算能力で、これを超える負荷処理はプログラムが制限されてしまいますが、2台なら仕事を分担することができます。例えば前に繋ぐ場合、

  • ノイズリダクション
  • コンプレッサー
  • イコライザー
  • ペダルワウ
  • 歪み系
辺りまでをG1Xで処理してG5nへ送る。
あるいは逆にG5nからG1Xに繋いで、
  • アコースティックギターシミュ
  • モジュレーション系
  • ディレイ
  • リバーブ
  • ボリュームペダル
などを担当させれば、双方のプロセッサーが大幅節約できDSP処理能力不足が解消され音作りの選択肢の制限は事実上なくなります。重たいアンプシミュレーター+キャビネットを使用する場合でも余裕の自由度です。明確な意図がなければ、先述のアウトプットブースターツマミを活かすためにも【G1X】→【G5n】とつなぐ方が良いでしょう。



エフェクトスペース(枠)節約【効果2】

こちらも当然だけど、前半と後半でそれぞれ役割分担させるので、エフェクターやアンシミュを設置するスペース(ブロック枠)がすっかすかに空きます。G5n が最大9枠、G1X FOUR が最大5枠なので、合わせて最大14種のエフェクトモジュール同時使用が設定できてしまうわけです。


「そんなに使うわけねえだろ」


と思ったアナタ!
ギターシンセみたいなピコピコビックリサウンドも夢じゃないし(ご利用は計画的に)、上質ギターサウンドでカエルの歌の輪唱的演奏も一人で十分可能です(お気を確かに)。もしかしたら、ここは宇宙デスカ?ってくらいびゅんびゅん飛び回る複雑なディレイSEや(嫌われる勇気を持とう)、リバーブの重ねがけで地底人襲来みたいな驚くほど幻想的で極上のアンダーグラウンドな残響が生まれるかもしれませんよ?(お試しは自己責任で)。ま、なんにせよ自由度が増すのはどうあれいいことよ。



スイッチ類操作性能の向上【効果3】

ストンプモードで演奏する場合でもオンオフ操作するエフェクターはある程度限られるので、それぞれのスイッチに割り当て想定しておけば左右にスライドしたりページを送ったりする事も少なくなり踏み間違いなどの事故防止につながります。さらに、物理的にエクスプレッションペダルも2個になるので、

  • ワウ】はもちろん
  • モジュール調節】や
  • マスターボリューム

などのペダル操作がそれぞれ個別に2つ常時スタンバイできるようになります。曲の盛り上がりに応じて適正音量でベストバランスに弾けるのは良いギタリストですよね。



疲れた時や気が乗らない時の手抜きセッティングも可能に笑【効果4?】

いえね、サイズもそうだけど、G5nってマルチでも意外とけっこう重たい部類なのよ。全体的に頑丈な鉄?っぽい材質で高級感や安定感あるのはいいけど。その点G1X FOURは小さいしプラスチッキーでチープだから逆にめちゃ軽いわけ( G5nが3.4キロ、FOURが610グラム、約5.57倍の差!)。ギターの音作りってギタリストの自己満的こだわりの一面もあるから、まだ全く手探りのリハとか音色チェンジの少ないセットリストとかちょっと体調しんどい時とかG1X一台だけでもワンチャンいけんじゃねえ?と密かに思っていたり照。

…冗談です小さい方だけ持って来てても「コイツ舐めて手抜きやがって」とか思わないで下さい明確に必要ならちゃんとベストセッティングしますから汗。



音作りも操作性も死角なしのG5n+G1X FOURコンボ

その理屈でいったらG3Xnもいいのだけど、まあそもそもちょい足し補佐的な役割だから軽くて安くて新しい方がいいわな。ZOOMで言えば、今年の夏新発売のG11とかフットスイッチ5個に増えてるし、プロセッサー能力もG5n比約3倍(最長ステレオ5分のルーパーは驚異的!)だし、最新機種のG6も気にはなっているのだけど、これまで述べた通り現状でなにか決定的な不満があるわけでもないし、どうせならペダルだけ付加するよりもって事で G5n に G1X FOUR を加えるコンビネーションに思い至りました。内蔵エフェクトリスト的には概ねまる被りだけど、「アレはこっち使いたいけどコレはこっちの方が良いのになあ」などと迷うのも面倒なのでむしろ同じで助かる。どのモジュールがどんな音だっけ?って把握して覚えるのも結構大変よ。

人によってはモデリングマルチの類はカッチリしたデジタル臭さがあるから嫌とか思うかもだけど、ぶっちゃけ個人的にはアナログプロファイリングタイプと聴き比べても全然気にならないレベル。たぶん、近年のモデリング技術レベルは人間の認識限界近くまできてると思う。あとは、歪みは BOSS GT1 系が好きとか、いま流行りの NUX が良いとか、LINE6 とか Kemper とか MOOER とか好みも色々あるだろうから、使い慣れてるやつや目的に応じて別機種組み合わせても良いかもね。ライブなどでの確実で自由自在な操作性は重要です。

ただ、次の機体に送る音量(マスターボリューム)設定だけ適正値をちゃんと把握しておかないと音痩せしがちだからだからそこだけ注意ね。あるいはバッファもかませば問題なし。


NAC♯ギター

そんなこんな、状況でマルチ組み合わせちゃうアクロバットも意外とアリかもよって話。次のスタジオ実音が楽しみです。ほなまた。



…後日、両機材を接続してアンプで実音出ししてみましたが、想像通り。というかさして変わるはずもないのは分かっていたわけですが笑。ライブ等で緻密に音色変えたり足元で色々操作したいタイプのギタリストにはちょい足しで使い勝手爆上がりなのでオススメコンボですよー。


G5nとG1X FOURの接続

所々に貼ってる白いガムテープは暗転中でも視認性向上させ見易いように。ボロって継ぎ接ぎ補強等してるわけじゃないのでご安心を汗。

あと中央に写り込んでるのがワイヤレスでこれがいまの基本セット。このブログ初投稿だったワイヤレスBOSS-WL60辛口レビューはこちらですのでもし興味おありでしたらどうぞ。



ちなみに…

G1X FOUR のみ単体で使うと

エフェクトブロックが5枠なのでストンプ(ペダル)モードでこなそうとすると本当にもう最低限の組み合わせしか並べられないので、シンプルめな音であまり変えなくて良い場合以外そうとう苦労します泣。


液晶画面ズーム

ノイズゲートどころかコンプすら外したくなるわ苦笑。この機のみでは少々の音切れ覚悟で大人しくパッチ(バンク)モードで各種音色を切り替えて使う事になるはずなのでご承知を。