エレキギターソロを上手ぽく弾くテクニック集
エレキギターを始めたばかりの人がまず直面する高いハードルはたぶん「想像していた期待の音が出せず練習モチベーションが維持し難い」て事だと思います。それは例えば、ギター本体とアンプ接続の間にエフェクターって機材を使って音を作る事を知らない等の知識不足だったり、単純に指が疲れるとか痛いなどのフィジカル面だったり、まだ思い通りに弾けないテクニック不足的な要素だったりと、原因は様々。上達や理想の演奏を追求する修行は全ミュージシャンの永遠に続くテーマですが、初心者にまず訪れるその大きなイメージギャップはギターライフ最初にして最大の障壁と言えるかもしれません。トライしてみたもののスタートアップで躓いて「自分には向いてない」と思い込み直ぐやめてしまうのは残念だしさみしいですよね。
そこで今回は、なるべく早くド素人の壁を打ち破って演奏をエンジョイして欲しいという願いを込めて、主に簡単なギターソロフレーズでもそれらしく上手に弾くためのニュアンス付けに絞って重要なポイントとコツを幾つかご紹介したいと思います。
チョーキングのコツ
まずなにはさておき、エレキギターでのソロプレイで最も象徴的な演奏方法はチョーキングと言えるかもしれません。チョーキングとは弦をフレットに押し当てたまま上(あるいは下)方向に引っ張り音程をシャープ♯変化させるテクニックです。英語ではベンド(Bending)と呼びますが、日本のバンドスコア等では「Choking」「C」「Cho」「CU/CD」(半音の場合は「Harf.C」や「H.C」等)と記載される事が多いです。単音をそのまま鳴らすよりずっとドラマチックに感情や表情を表現できるのでメロディアスな単音旋律フレーズ等ではマストの奏法です。
最大のコツは、中指ベンド時は人差指を添え、薬指ベンド時では中指を添える事。つまり極力指2本の力でベンドさせる事で長い時間のチョークアップやニュアンスのコントロールもより安定します。この辺りのコツを知らずに指一本で頑張って「痛って~」って言って難儀してる初級者(特に女子)さんが意外と多いイメージです。
人差指&中指ベンド
フレットへの押弦は中指で、その後ろ側に人差指を添えて同じ弦を押し上げる方向に補佐します。
中指&薬指ベンド
画像は2弦を全音(フレット2つ分♯)チョーキングをしています。補佐指を隣(奥)のフレットに添えていますがこの辺りは意識しなくても自然とサポートできる位置で大丈夫です。
もちろん、人によっては常に指一本で余裕で全音ベンドできるぜって言う方もいらさると思いますし、フレーズの流れや状況次第でそうせざるを得ない場面も当然ありますが、基本としてはこの2パターンが最も使用頻度が高いでしょう。フレットに押しつける力は必要最低限を保ちつつ押し上げる方向と力加減を覚えるのも大事なコツです。ケイジド(CAGED)システムで覚えるペンタトニックスケールの活用法や、ペンタに1音足してアドリブソロフレーズの幅を広げる話などで紹介したようなスケールポジション上で、ベンド先の音程もハマるように弾こう。
全音と半音を正確に使い分ける
練習において、全音シャープ♯(C)させる場合はフレット2つ先の音、半音シャープ♯(H.C)させる場合はフレット1つ先の目標音をまず鳴らし、確認したうえでその音程に向かって正確にチョークアップするトレーニングをしましょう。指の感覚的にもそうですが、インターバル(音程)の変化を耳でしっかり覚える事がとても重要です。「上げ過ぎたからちょっと戻す」のが一番カッコ悪いですよ苦笑。
1音半やクォーターチョーキングも使いこなそう
比較的使用頻度や使い処は限られてきますが、ブルース系などでは多用される半音のさらに半分(1/4)程をベンドで表現するクォーターチョーキングや、3フレット分をベンドする1音半チョーキングというバリエーションもありますので併せて把握しておきましょう。ただし、人差指や小指など指1本で1音半ベンドするギタリストはプロも含めほとんどいませんので出来なくても落ち込まないでくださいね笑。
Cアップ&Cダウンする時間を正確にコントロールする
リズムマシンやメトロノームなどのテンポに合わせて、2分・4分・8分・16分と、様々な音符間隔で繰り返し正確に安定してチョークアップとダウンできるようにしましょう。長い音符で一定の速度を保ってゆっくりかつジャストタイミングに音程を変えていくベンドは意外と難しいですよ。
発展形のC奏法
次のステップとしての発展形テクニックですが、単音ベンドの他に、隣り合った弦2本を同時にベンドするダブルチョーキングのリフや、副音で片方だけベンドさせるフレーズなどもスタンダードです。いろんなギタリストが奏でるプレイをコピーして実際に演奏してみるのが最も効率的に奏法を学ぶ近道ですので、色々な音楽を聴いてみよう。
注意点
全音以上のチョーキング時は特に、鳴らす弦だけを押し上げても必然的にその隣の弦も大きく押し上げる事になりますが、その際、他の弦が無駄に鳴らないように余弦ミュート(消音)にも気を配れれば完璧です。
勢い指の下に潜り込みフレットに当たってカチンと鳴ったり、爪と肉の間に挟まって痛かったりする場合、弦高設定が適正とは言えない可能性があります。セッティングは好みな部分でもありますが、弦高調整でビビリ音と弾き易さが激変する話などもご参考に自分が弾きやすい最適な状態を把握しよう。
ビブラートのコツ
次はチョーキングとセットで覚えたいビブラートです。ボーカリストが喉や横隔膜を震わせなんちゃら~とかいう演歌歌手のこぶし的なアレ→~です。チョーキングは音を伸ばすフレーズの最後で使う事も多いので「ベンドからのビブラート」は鳴きの鉄板コンボです。一般的によく言われるのは「捻るタイプのドアノブを回す様に」とかですが、ぼくはあれイマイチピンとこなかったんですよねー。そんな小刻みにガチャガチャ回さねえし。そうねー…例えるなら「酒が飲みたくなる感じ」でしょうか笑。ビブラートが上手いと心地良さや説得力がかなり増しますので必ずマスターしたい基礎テクニックです。フレージングによる運指の制限も想定されるので、どの指でもある程度できるようになるのが理想です。
基本的にはフレットに押し当てたまま弦を僅かに上下させ音程を揺らしますが、トレモロと同じ原理で弦を張っている横方向←→に引っ張りテンション(張力)を変える事により音程を変化させるバイオリン奏法的ビブラートでは音程変化幅が少ない反面、コード(和音)での揺らぎが生めたり、弦とフレットが擦れるノイズが発生し難いメリットなどもあるので、奏法のバリエーションとして使い分け出来ると良いでしょう。
一定のリズムと幅で音程を揺らす
繰り返す音程変化が大きかったり小さかったりと暴れないよう一定幅で、かつ、ゆっくりになったり早くなったりしないよう一定間隔で、それぞれなるべく長くキープできるようトレーニングを。幅や間隔に絶対的な正解はありませんが、なんとなく漠然とではなく、小幅で速いタイプや大きくゆっくり揺らすタイプを明確に意識して自在に使い分けられるように。
ビブラートの速度は演奏テンポを基準に合わせよう
基本的にビブラートの速度は演奏のテンポを基準に考えます。楽曲テンポの8分・16分や3連符・6連符などグルーヴを生む唸りをイメージして合わせるとより気持ちよく馴染むポイントが見当たると思いますので色々試してみましょう。ちなみに、早く小刻みに震えるようなビブラートを「ちりめん」と呼んで少々馬鹿にする風潮もなくもないですが、個人的には曲の雰囲気やギタリストのキャラに合っていればダメじゃあないと思っています。B.B.キングなブルースぽいし。ロックなら恰好良ければオールオッケーです。
ハンマリング&プリングのコツ
ピッキングせずに左手指で弦をフレットに叩きつけ発音させる技を「ハンマリングオン(H)」、押弦した左手指を極少し引っ掛けて放す事で弦を弾く技を「プリングオフ(P)」と呼びます。いいえ違いますバンゲリングベイでもプリングルスでもないです汗。最も多い用例は、人差指で押弦したままその先のフレットを中指や薬指で叩いたり引っ掻いたりして弾き鳴らすテクニックです。掠れたニュアンス付けはもちろん、早いフレーズなどでピッキングを省略するのが主な目的で部分的に取り入れる事もよくあります。
ハンマリングオンは速度と勢いが大事
当然普通にピッキングで鳴らすよりも音量は下がりますが、力を入れ強く叩くというよりは、素早く正確にタップするイメージの方が綺麗に鳴ると思いますし実用的。「ギュッ」ではなく「トンッ」とか「パシッ」とか「スタンッ」て感じです。
プリングオフは斜めに素早く放す
ただ真上に放すだけでは発音は弱く、真横に引っ掻いては微妙な音程変化やノイズが気になりますので、斜めに素早く放す感じでしょうか。個人的にはゴツ目のかさぶたをカリカリ引っ掻くイメージです笑。
H&Pを繰り返すトリルは力を抜いて動きを小さく
ハンマリングとプリングを同じ場所で繰り返すトリル(Tr)は、可能な限り速く繰り返す場合と、16分音符などタイミングを合わせてフレーズ構築する場合がありますが、いずれも指の力は極力抜きつつ最小限の動きで正確に繰り返すのがポイントです。「トリトリトリ…」とか「プルプルプル…」と口に出しながら弾いても良いかもしれませんね笑。
チョップ奏法のコツ
チョッピングとも呼ばれるこのテクニックは、1本の弦を弾く時にその上に並ぶ他の弦2~4本を右掌でミュートしながらピッキングしつつアタックノイズの直後に1本だけ鳴らす技です。ん~口で言うと難しいのですが、ダウンブラッシングの1ストロークで最後の弦だけならすみたいな、例えば1弦だけを弾くときに、4・3・2弦をピックで撫でつつ最後に1弦だけ鳴らすのを1振りでやる感じ。
イメージ解説図でいうとこう。
音的にはクリーントーンなら「ぷりぃーんっ♪」で、ドライブサウンドなら「グギャァーン♪」て感じ?でしょうか。手前の×部はあくまで効果音的ゴーストノートなので、故に左手の押弦は鳴らす1弦のみでOK。更にチョーキングとの併せ技で一音入魂の叫びが演出できます。コツとしては腕の振りではなく手首の返しで、右手首(親指)を少し上に上げた状態で掌の側面を弦に当ててから始めると鳴らしたい弦に来た時にピックの角度が丁度良くなる感じでしょうか。あとピックを通過させる深さや速度を変える事でニュアンスも変えられるので色々試してみよう。一度コツを掴めば超簡単でお手軽に使えるのですが、無意識に癖で使うギタリストも多く、隙間があるとつい入れたくなっちゃいますがあまり多用しすぎるとブリブリ・ゴリゴリうるさがられますのでほどほどにしてここぞで使うよう心掛けましょう笑。
NAC#'s Guitar Playing Advice.
こーいうの言葉や文字などの文章で伝えるのって本当に難しいなと思いつつ汗、ビブラートやハンマ&プリングの写メを撮ったところで、チョーキングの画像とほとんど一緒だったので省略させていただきました爆笑。つまり、同じ人物が同じ弦でやる限りフォーム的にはどれもあまり変わらないんですよねえ。基本的には握り込むロックグリップにしても指の根本や手の平は常に浮いてる感じ?というのか。広範囲の指板をフォローする必要がある場合や太い側の弦にいくほど必然的にクラシックフォームになりますが、それも個々人の掌のサイズ感や指の長さやギターネックの太さによっても大きく変わるなあと思い、そのあたりの感覚やコツはもう完全にご自身で掴んでいただくほかないのかなと。あとちなみに、僕がよく弾くフローティングトレモロシステムや緩め設定のシンクロナイズドトレモロシステムなどの場合はベンドによる張力増大でブリッジやサドルが少々浮く(戻る)ので、固定ブリッジの場合よりも多めにチョーキングする必要があるなど、ギターによって感覚や感触が変わりますので随時確認と注意が必要です。
さておき、これらの細やかなテクニックを組み合わせ随所にちりばめてあのいかにもエレキギターなカッコ良いギターソロフレーズが仕上がっているわけですので、初心者がイキナリ全部出来るはずもありませんから最初から完璧に弾けなくても焦らずひとまず安心してください。始めはそんな手法があるんだーくらいでOK。ひとつひとつの技法は基礎的なもので地味に感じるかもしれませんが、要所で駆使することで流れるように滑らかなフレーズにもなりますし、ニュアンスや感情の表現力にも繋がりますので、ひとつずつ確実にマスターできるよう意識して練習しよう。いやまじ冗談抜きでこのへんが安定して上手いだけでめっちゃ恰好良いから。