弦高調整でビビリ音と弾き易さが激変する話


最近ぷろたんの大食い動画が気になるどうもナック♯ですやっほう♪
ギターの弦高ってギタリストによってぜんぜん好みが違うから、この話だけで一晩飲み明かせますよね笑あープレイヤー飲み会してえ。てことで今日は弦高の調整方法やビビリ解消テーマで。


まず、弦高調整の要素としては、
  • ブリッジサドル高さ
  • ネック反り具合
  • ナット高さ&溝深さ
で概ね決まります。厳密に言えば 指板R とのフィッティングとかネック取り付け角度等もありうりますが、構造的問題で調整難易度としてはちょっと別次元。で、通常ナット(ヘッド側の0フレット)は異常じゃない限り基本的に触らない部位なので、ネックの反り具合とブリッジサドル高で調整する事になります。


エレキギターのブリッジ


ぼくは弦高は低めが好みなのですがあまり気にしないようにしていても静かめなballad曲などで弦がちりちりビビると興が削がれ萎えてしまうので割と緻密に調整し際どい限界を追い込むタイプです。弦高を低く保った方が弦をフレットに押し付けるまでの距離も張力も少なくなるため、より少ない力で素早く押さえられますし、ネックを握りこむフォームの場合の総合的な厚みも抑えられます。

が、ここで若干残念なお知らせ。

エレキギターは特にビビりやすい弦楽器

です。弦が細く張力が弱いため弦振動幅が不安定、かつスチール製の弦と金属フレットなので振幅でちょっと触れるだけで高く硬い実音が出てしまうためです。より高音帯域が目立ちやすいステンレスフレットならなおさら、どんな場面でも全くびびらないセッティングなど不可能かと思えるレベルです。まあエレキの場合は弦の振動をピックアップの磁界で拾って電気信号に変えて出力しアンプで鳴らす楽器なので、極端に振動ムラが起きなければ最終的な出音に深刻な影響は少なくあまり問題ないのですが、

気になりだすと沼です笑

逆に、敢えてビビらせまくりでワイルドに弾く人や、違う意味でびびるほど高い弦高の人もいます。握力戸愚呂弟100%です。アコースティックギターでガシガシ弾き語る系の方とかそれもそれで恰好良いと思うけど。弦のチリチリ音は歪みよりクリーンめなサウンドでの静かめなセッションで目立ってくる場合がほとんどと思うので、機種のキャラクター毎によって設定を変えて使い分けてもいいかもしれませんね。例えば JAGUAR はギラギラに歪ませてベタベタでザクザク弾くけど Jazzmaster はクリーン綺麗にポロポロ響かせたいから気持ち高め、とか。まあ結局

自分自身が楽しく演奏できて良い音だと思えたらそれが絶対正義

なのですが、これまであまり弦高を意識したことがないって方は効果覿面思いのほか弾き易くなったりするかもなので一度自分で色々調整してみることをおすすめします♪



弦高調整のコツ

まず低めに調整したい場合にネックの反りは大敵です。順ぞると弦が指板中央から離れるし、逆ぞるとフレットに触れるので、弦を張った状態でドストレートか極僅か順反りが基本。このへんは「ギターはネックが命(反りねじれの直し方編)」等をご参照いただくとして、ブリッジの種類によって各弦サドル独立で高さ調整できるタイプと、ブリッジの両端で調節するタイプ等がありますが、基本的には指板面ではなくフレット頭頂部との距離で調整していきます。ストラトキャスタータイプならトレモロ調整の設定具合も重要なファクターですし、レスポール等サドル一体型ブリッジの少々アクロバットなサドル調整「チューンオーマチックブリッジ調整交換(JAGUAR編)」もご参考になるかと。

弦高の世界標準的な目安もあるにはあるのですが、メーカー等の推奨基準は製品精度の許容範囲を極力広げたい思惑(邪推?)がありかなり甘めで安パイなケースが多く、単刀直入に言えば高め設定が推奨されています。一般的な測定位置は12フレットの頭と張った弦の間の空間距離と定義されますが、個人的には6弦側でも2ミリは絶対超えたくないです。アコギやクラシック系は相対的にもう少し高くなりますが、エレキなら

1/2弦:1.4mm
3/4弦:1.5mm
5/6弦:1.6mm

くらいが妥当で納得の落とし所でしょうか。このあたりからわりとどこかしらでちょっとずつチリチリペチペチとびびり始めますし、これ以上低くても全音チョーキング時に音が詰まったり弾かない弦が指先の下に入りこんじゃってかちんと鳴っちゃう場合も生じてくるので。先端から計測できる専用スケールや鉄製定規などで一度計ってみましょう。

で、

物理的な数値はこの位が理想だと仮定して、調整後各弦各ポジション全部鳴らしてみます。円錐(コンパウンドラジアス)指板ならともかく普通の円柱指板の場合ビビリももちろんチョーキングで音詰まりしたりもあるあるなのでここからは妥協の世界です悔泣。(※詳しくは「ギター指板R(ラジアス)による弾き心地の違い」を。)ここでコツというか意外なポイントとして

アンプかヘッドホンから出すクリーン音で確認する事が重要です。

できれば「ギターアンプの使い方の基礎知識」で紹介したようなライブで使うような大きなアンプ実機で確認できると良いです。ピックアップが拾った出音でどのくらいビビるかが本当の勝負ですし、繰り返しますが生音だと絶対どこかしら多少チリチリするもんです。ほとんど削れないステンレスフレットじゃなくスタンダードなニッケル製フレットならなおさら。

生音で限界攻め続けると終わりなき戦い突入しますよ苦笑。

また弦とフレットの接触ではなく、ジャズマスター等で言えばトレモロ内部やブリッジマウント自体が共振して発生する別のビビり方もあるので、原因特定も重要でしょう。ただし、たまに安価で状態の悪い粗悪品でナットの高さや溝の形状が不適切だったり、各フレット打ち込みの高さにムラがありそもそもフレット頂点の高さが均一じゃなくセットアップじゃもうどうしようもない重症ケースがあるので、その場合はリペアマンにナット交換やフレットすり合わせ等を依頼する必要があるのでご注意を。あと調整後意外と忘れがちで大事なのが

ピックアップと弦の距離にも気を配る事も超重要です。

指板との弦高が変われば当然ピックアップとの距離も変わっています。距離が離れると出力が下がり音はこもり音像もぼやけますが、近すぎると出力がピーキーになりP/Uの磁力がスチール弦の振動にも影響しうねりやムラが生じます。分かりやすく言えばピーク音が割れ減衰が早くサステインが落ちたり。ちょっとの差で驚くほど音質が変わるので弦高調整後は要音出し確認です。

セオリーとしては、1弦側より6弦側を少し下げめ(間隔広め)にして各弦の発音ボリュームのバラツキを極力抑え、リアPUよりもフロントPUを下げ目にして前後のバランスを取ります。ピックアップ機種のタイプや音質特性、発する磁力の強さによる弦振動への影響等によってもかなり変わりますが、平均値としてはだいたい最終フレットを押さえた状態で

2mm弱程度

の間隔がバランス良好のようです。弦高よりもPU高の許容範囲は広いのであとは音質のニュアンスやピッキングアタックのタッチ音などを含めて意図やお好み次第で。


ピックアップとブリッジの調整位置図


ビビリをピックアップが拾っているか否かの確認も含めて、クリーントーンや歪みをアンプやヘッドホンで聞きながらP/Uの高さの出音具合を色々試して好みを確認しておくと良いでしょう。



NAC#'s Sharp Summary.

コツというか個人的なこだわりをつらつらと連ねましたが、大前提、楽器なので絶対こうじゃなきゃだめって事ではないですし、人それぞれの世界っちゃあそれもそうなので、ぼくはこうしてるよって話として。ただ、なるべく色々やってみないとスタンダードが理解できないし、価値観や視野や世界も広がらないのでね。ちなみに「エレキギター激安弦比較レビュー」で試した製品で言うとビビりやすさと弦のクオリティやブランドはあまり相関性ないように感じました。たまに他の人のギターを弾かせてもらったりしても「へーコンディションこうしてるんだ~」って思う事も多々あり発見や自分自身を反芻する良いきっかけにもなるし楽しいですよー。あるいは敢えて高め弦高で指の筋トレに勤しむ修行スタイルもありやなしや。レッツエンジョイほなまた。

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