ギターアンプの使い方と基礎知識
今は小型トランジスタアンプしか所有していないどうもナックです笑。みんな家でギターアンプ鳴らしてますか?東京のような都市部では特に集合住宅など大きな音で鳴らすのが難しい環境も多く、使えないなら必要ないので、あっても10W程度の極小ミニアンプって方も多いのではないでしょうか。
例えば初心者の方などはいざリハーサルスタジオやライブハウスに置いてあるスイッチやツマミがいっぱい付いた大きなアンプの接続セッティング方法や操作手順に戸惑う事もあるかと思います。意気揚々と現地入りしたのに普段と違う機材に緊張しあたふたてんぱって思い通りの音がだせず演奏に集中出来なくては悲しいですからね。そこで今回は、生バンドセッションでの3大ド定番アンプ
「Marshall JCM900」
「Fender 65 Twin Reverb」
の基本的な使い方や音色の作り方などセッティングの基礎知識をシェアいたします。音の特徴なども添えますので、アンプの選び方の指針にもなるでしょう。
ジャズコーラス(JC120)での音作り
接続方法(JC120)
日本でのトランジスタアンプの代表格ローランドのJazzChorusはハイファイでオーディオライクな味付けが独創的なアンプなので、マルチエフェクター等で作り込んだ音色をそのまま素直に再現したい場合に向いていると言えるでしょう。
どすっぴん出力用の「CHANNEL1」と、ディストーション・リバーブ・ヴィブラート・コーラスのエフェクトを備えた「CHANNEL2」が独立しています。別途エフェクター類で音作りする場合はどちらのチャンネルを使っても良いですが、アンプ直差し時は2chである程度音作りできます。ギター2本を各チャンネルで同時に使用する事も可能です。
インプットジャックがそれぞれ「High」と「Low」用意されており、アンプ直の基本はインピーダンスの高いハイ側に差しますが、アクティブピックアップ搭載など高出力ギターの場合やエフェクター出力の仕様や設定、バンド全体のバランス等の状況、あるいは鳴りのお好みでローを使用する事も珍しくありません。
尚、前段にアンプシミュレーターを使う場合はリターン差しする方が多いです。
音色調整(JC120)
マーシャルとは反対の左側から順に並びます。高音の抜けを一段階良くする「BRI」ブライトスイッチは微調整が不可能なので音作り的にはオフが基本。イコライザー調節
- TREBLE:高音EQ
- MIDDLE:中音EQ
- BASS:低音EQ
- DISTORTION:歪み
- REVERB:残響
- VIB:ヴィブラート
- CHORUS:コーラス
マーシャル系(JCM900)での音作り
接続方法(JCM900)
スタックチューブアンプの定番マーシャル各機種は真空管特有の暖かい発音とダイナミックなハイゲインが魅力。共通の注意点として、電源スイッチにあたる「POWER」と入力信号を制限する「STANDBY」があり、内蔵真空管を守るための安全装置ですので「電源をオンオフする際は常ににスタンバイは切る」と覚えておきましょう。電源を入れてから真空管を温め始め、本来の音が出せるようになるまで大凡3分程かかりますので、スタンバイオフを確認しまず電源だけ入れておいてからシールドを繋ぐなどセッティングするとタイムロスがないでしょう。
基本構造は、インプット1か所でバッキングリズム的に使う「CH-A」とリードソロプレイ時等に使う「CH-B」をそれぞれ調整しておき、左端のボタン(フット)スイッチ「PUSH ON (CH-B)」で設定を切り替える事ができます。つまり、チャンネルBで歪み具合(ゲイン)の調節やブースター的に使っても良いですし、別途エフェクター等で音色や音量をコントロールする場合はクリーンベースのチャンネルAだけスタンダードに調整しておけば良いわけです。
音色調整(JCM900)
ジャズコとは反対に、右側から順に
- GAIN:入力(歪み)
- TREBLE:高音EQ
- MIDDLE:中音EQ
- BASS:低音EQ
- PRESENCE:音像輪郭
- REVERB:残響
- VOLUME:出力(音量)
ただし、真空管アンプである本機はジャズコシリーズ等のトランジスタ系アンプより状態の個体差が大きい傾向があり、端的に言えば状態劣化が激しい傷んだアンプの場合もありますので、たとえ同じ機種で同じ設定でも、現地で実機の実音を聞いてより臨機応変に判断する必要があるかもしれません。「Marshall JVM 410H のクリーンが扱いやすい件」もご参考に。
ちなみに同シリーズの型落ち版モデル
JCM800での音作り
に関しては、漠然とした個人的な印象ですが、900や2000よりも歪みにくくハリも弱い気がする(真空管の状態やスピーカー数にもよるかも)ので、全体的により上げ目の各EQから不要な帯域を削っていった方がスムーズに整えられると思います。
フェンダーツインリバーブでの音作り
接続方法(65TWINREVERB)
フェンダーを代表する真空管アンプ・'65ツインリバーブは「歪ませずに大音量を出す」ために作られたギターアンプなのでそもそもゲインがありません。が、煌びやかな絶品クリーンである事はもちろん、歪みペダル等で作るドライブサウンド時も化粧ノリが良い懐の深いアンプです。
JC120と同様、独立2チャンネル仕様。EQだけのシンプルな「NORMAL」と、リバーブやヴィブラートも使える「VIBRATO」チャンネルがありますので必要に応じて選択。
注意点としては、先述の2機種とは異なり電源スイッチやスタンバイスイッチが背面側にあるタイプですので、「あれ?電源どうやって入れるの?」と焦らないように。表になければたいてい裏にあります。
音色調整(65TWINREVERB)
高音帯域を強調する「BRIGHT」スイッチは、個人的にはオフがデフォルトと考えますが、音楽ジャンルや総音量のバランスやお好みに応じて選択。イコライザー部
- TREBLE:高音EQ
- MIDDLE:中音EQ
- BASS:低音EQ
- REVERB
- SPEED
- INTENSITY
エフェクト装飾部の「リバーブ」はフェンダーのアンプらしい明るい残響。「スピード」と「インテンシティ」はビブラートの「早さ」と「深さ」の設定になります。必要ない場合はいずれも「1」でオフです。
下画像はシングルコイルギターでかなり大人しめにセッティングした際の参考数値ですが、通常バンド編成ならブライトオフで各EQを上げていくと馴染みが良いでしょう。
アンプ共通の取扱注意点やマナー
ギター用アンプは今回挙げた3機種の他にも数多くのメーカーから多様なモデルが発売されていますが、基本操作や取り扱いに関する共通の注意事項があります。
特に狭いスタジオなどでは、スピーカーやドラムの位置関係によってバンド全体の音量や音色の聞こえ方にばらつきが生じる事がありますので、自分だけではなく各パート全員が極力バランスよく聞こえるようベースアンプやモニタースピーカーも含めて向きや配置距離を工夫しよう。部屋の形状などで難しいシーンもあるでしょうが、ミキシング(音量調節)の最重要ポイントは「ボーカルやバンドマスターが全演奏パートをベストバランスで聞ける事」と「ギタリストが自分のギターの出音を最低限モニターできる事」の両立です。
アンプの上面や傍に携帯電話やワイヤレス受信機など強い電波を発する物を置くと、「ジー…」というノイズを拾う事があります(特にローランドJCシリーズ)ので注意しましょう。また、事故や破損の原因となりますので特に食べ物や飲み物などは絶対にアンプの上には置かないように。
アンプの傷みや劣化を避ける為に、ジャック接続は電源オフ時に行う事はもちろん、電源のオンオフ時は必ずマスターボリュームを0にしてから行い、電源を落とした後はコンセントプラグを抜く癖を付けよう。
自宅練習向き家庭用コンボアンプ等
生ドラムを含むバンドセッション用ほど大きな出力はない、主に自宅での個人練習に最適な家庭用コンボタイプアンプでも本格的な出音や音質調整が楽しめる比較的安価で高品質なものが増えていますので、ある程度良質なアンプを持っておけば取扱いに慣れる事はもちろん、エフェクター等の効果確認や音質調整のシミュレーションが自宅で入念にテストできるので一家に一台ぜひご用意を笑。比較的安価なトランジスタタイプでもチューブアンプの鳴りをシミュレートした本格志向モデルがおすすめです。
この辺りのレビューもご参考に。
ギターアンプを使いこなしてこそのフィールグッドギタリスト
アンプ設定もギター音色作りの要素なので基本的にはお好みで自由に設定して良いのですが、自宅でヘッドホン&エフェクターでどんなに良い音色を作っても、ライン録音ならばさておき、スタジオでのリハーサルやライブ会場などで実際にドラムの音量に合わせた大きな音でのアンサンブルでは音響特性も変わりますしアンプの微妙な調整具合で音色の印象が大きく変わるものなので、バンドサウンドの華のギタリストとしては、現場で時間が許す限りいじくりたおしてある程度自分好みのスタンダードなセッティングを把握しておく事も必要ですし、なにより大きなアンプ出力に慣れ理想の出音をイメージできるようになる事が重要な第一歩です。
当然ですが、エフェクターの設定やギター自体の音質によっても鳴り方は変わってきますし、アンプ実機の劣化具合等の状態に個体差が激しい場合もあるので、メモリの数値を過信せず耳で判断し臨機応変に対応できるよう使い方の基本は掴んでおいた方が良いでしょう。せっかく生バンドセッションするならみんなが気持ち良い音で弾こう!
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