ギターコードスリーノートセブンスボイシング

音楽におけるコードとは複数の音階を同時に奏でる和音の事ですが、現代のポピュラーミュージックシーンでは四和音をベースに考える事が多いと思います。1度・3度・5度・7度のセブンスコードボイシングですが、実はこの内、根音に対してのパーフェクトフィフスはコード感を醸し和音のキャラクターを決定付ける構成音というよりは、パワーコードのようにハーモニーに厚みを加える音ですので、逆に言えば、和音においては省略しても差し障りない場合が多い音で、四和音をROOT・3rd・7th のスリーノート(3音)で表現してもセブンスコード感は十分に得られます。

また、ギターが複数いたり鍵盤がいたりその他様々な楽器がいるようなビッグバンドでは余計な音や邪魔な音を極力省く事で全体で綺麗に纏った美しいハーモニーになるため音数を減らして演奏する傾向にあります。そこで今回は、中指ルートで弾くスリーノートのセブンスコードをまとめてご紹介します。


スリーノートの押さえ方

マイナー7で言うと画像の様な押さえ方です。鳴らさない余弦を指の頭や浮かせた腹で確実にミュート(消音)するスキルは必要ですが、基本的に指2・3本で簡単に弾ける上、ルート音がトップノートせずサード音とセブンス音がより鮮明に響くためジャジーなニュアンスがより醸し出されますし、残りの小指でテンションノート(9thや13th)を付加したりメロディラインを補足演出したりとコードやフレーズの発展性も高いので、覚えて自在に使いこなせるようになれば確実にプレイの質も向上し幅も広がるのでぜひ練習してみて。また、これらのコードを覚える事が、

コードトーン把握の助けにもなります。

根音に対する「3rd」と「7th」音は和音の特徴を色濃く醸す重要な音ですが、それはギターソロフレーズ等においても同様です。バッキングコードに応じてメロディー中でこれらのコードトーンを使う事でより音楽的でフィットした構成になりやすく、特に該当キーのペンタトニックスケールに含まれていない音を最適な場所で使うと必殺技と呼べるほど魅力的なキャラクターノートとなりますので意識して把握しましょう。(※一般的により解り易いよう、トニックをルートの一度という意味で「R1」と表記しています。)



メジャーセブンス(△7)

3度・7度共にメジャーです。


メジャーセブンス指板図

5弦ルート型は「R1:」「M3:」「M7:」「9th:」指で、
6弦ルート型は「R1:」「M7:」「M3:」「13th:」指がスタンダード。



セブンス(7)

3度がメジャー、7度がマイナーです。


セブンス指板図

5弦ルート型は「R1:」「M3:」「m7:」「9th:」指で、
6弦ルート型は「R1:」「m7:」「M3:」「13th:」指がスタンダード。



マイナーセブンス(-7)

3度・7度共にマイナーです。


マイナーセブンス指板図

5弦ルート型は「R1:」「m3:」「m7:」「9th:」指で、
6弦ルート型は「R1:」「m7:」「m3:」「13th:」指がスタンダード。



マイナーセブンスフラットファイブ(-7♭5)

3度・7度共にマイナーに、減5度を加えます。


マイナーセブンスフラットファイブ指板図

5弦ルート型は「R1:」「♭5:」「m7:」「m3:」指で、
6弦ルート型は「R1:」「m7:」「m3:」「♭5:」指。(※♭5がトップノートする六弦トニックの型は響きのバランスも良くとても綺麗ですが少々難易度が高いのでベースがいるバンドでは根音も省略しても良いでしょう。)



スリーノートコードトレーニング方法

これらのスリーノートコード全てを使った効率的で効果的な練習方法をひとつご提案。


|D△7・D△7+α|D7・D7+α
|Gm7・Gm7+α|Gm7♭5|


このコード進行で5弦ルート型と6弦ルート型を交互に弾けば今回ご紹介したスリーノートコードフォームが全て網羅できます。「+α」は型に応じたテンションノートで、有無を弾き分けて彩りを加え変化を。上段D系コードを「6弦10f根音」、下段G系コードを「5弦10f根音」の型で弾いたら、次はトニックの弦を入れ替えて「D系=5弦5f」と「G系=6弦3f」の型で。


中指ルートコード進行1

中指ルートコード進行2

慣れてきたらテンポアップしたり、1小節ごとにポジションを入れ替えたりして難易度を上げ対応力を鍛えよう。


アドリブソロトレーニング方法

少々余談ですが、このコード進行をバッキングトラックにしてアドリブソロを弾くとしたら、各コードトーンを追うか、要所でポイントのキャラクターノートを取り入れつつ、Dメジャーペンタ&同主調マイナーペンタが最もスタンダードなセオリーでしょう。特に4小節目の♭5で減5度を弾くと気持ちよくハマります。背景で鳴る和音の響きを噛み締めて合わせてみましょう。




NAC#'s Sharp Thoughts.

ギターは基本6弦の楽器ですが、コードとはいえ常に全ての弦を鳴らさなければならないわけではありませんし、アレンジバランスなど楽曲の場面やパート全体の音圧状況によっても最適な音色や音数も変わるでしょう。実際にスリーノートボイシングで弾いてみると解ると思いますが、3つの音だけでもコード感はしっかりありつつ、スッキリ軽快かつ濁りの無いクリアな響きでとても扱い易い音色ですので、カッティングプレイとの相性も抜群ですし、先述の通り、これらのコードトーンはソロフレーズやリフ構成でも重要なヒントになります。P5音を加えた一般的なコードの場合、より音圧も上がるのと同時にハーモニーにPOPなニュアンスが加味されますので、シーンで使い分け出来ると尚良いでしょう。

スリーノートコードの弾き方のコツとしては、いずれもポイントで指を寝かせミュートしながら押弦する事ですが、ポジション型に応じて、脇を締めて指を外向きに寝かす型と、脇を開けて指を内向きに寝かす型の使い分けや切り替えがポイントです。また、ダイアグラム中表記の(赤数字)はそれぞれ付加しやすいテンションノートです。雰囲気などに応じてワンポイントで加えると違ったニュアンスが生まれるのでポジションを覚えておくと良いでしょう。加えない場合は押さえている指の腹等を当てきちんとミュートしましょう。スマホでも見やすいようまとめた便利な各コード一覧まとめ画像もご用意しましたので、ぜひ覚えて使いこなせるようトレーニングしよう。


スリーノート7thコード一覧表画像


ギターコード一覧表

さっそくこれらを使ってぜひギター循環コード進行例を試しに弾いてみてくださいね。


初心者の方はギター指板基礎知識「ギター指板とチューニング基準音の覚え方」や「メジャーとマイナーの平行調的恋人関係(スケール編)」、「ケイジド(CAGED)システムで覚えるペンタトニックスケールの活用法」、「ダイアトニックコードとディグリーネーム変換」などのおさらいをオススメいたします。