メジャーとマイナーの平行調的恋人関係(スケール編)


ブログも始めたてなので少しは音楽理論的な事も書いておこうと思いつつ、あまりお勉強チックになっても実践でお役に立たず存在意義が成立し難いので、ここでは小難しい理屈は極力省いて、ギタリストのために即役立つ視点でのみ簡潔明快にゆこうと。

で、今回は調性とスケールについて。


メジャー (長調) とマイナー (短調) の違い

聞いた事くらいはあると思います。漠然と「Majorは明るい感じで、minorは暗い感じ。」と認識されている方も多いと思います。


大正解!


冗談じゃなくその感性が一番大事です。明暗とか陰陽とか憂いと喜びとか、女子がよくいう「可愛いは正義」とかと同様、主観が最優先でいいと思うのですがまあそういう感じの違い。では、どうなってそうなっているかの理屈ですが、ギターを弾く方はよく分かると思いますが、8音階(1オクターブ)上がるまでに音程(インターバル)が指板でいうと12フレットあります。[R]を基準(ルート)音として半音ずつ、

|R|m2|M2|m3|M3|P4|♭5|P5|m6|M6|m7|M7|P8(R)|
( M=Major / m=minor )

となっているのですが、スケール構築する際それぞれ一定間隔に飛ばしている音が五つあるんですね。つまり、この音程の使い分けがメジャーkeyとマイナーkeyの響きの違いに繋がっているわけです。(・厳密に言うと、I△7に対してのVIm7であり、Ionianに対してのAeolianなのですが、今回は少々ざっくりめに説明してゆきます。)


Major scale の音程は、

|R|M2|M3|P4|P5|M6M7|P8(R)|

を使います。
「全全全全全
てやつです。

minor scale の音程は、

|R|M2|m3|P4|P5|m6m7|P8(R)|

と変ります。
「全全全全全」
です。


構成音中3つの音が違います。なんでこうすると明るさや暗さが生まれるのかという分析はもう哲学的レベルの話ですが、これが音楽のファーストステップの基礎でそういう真理。当然、コード等も含め全てこの基本理論の元に成り立っています。

ちなみにコードの場合ですが、

Major の表記

は「大文字の」や「(三角記号)」。

minor の表記

に「小文字の」や「(マイナス)」。

と書くことがあります。この表記の選択には特別なルール等はなく、完全に個人の好みです。個人的には「メジャー△」で「マイナーm」が見分けやすくて好き。



平行調とは

端的に正しく言えば「使われる基本7構成音が全て同じになるメジャースケールとマイナースケールの親和的関係性」となりますが、もう少し噛み砕いて分かりやすく伝えるなら、

違う根音のメジャーとマイナーなのに使う音が全部同じってマジかよなんでだよ?でしょうか笑。

不思議に思えるかもしれませんが、あるメジャーキーと別のマイナーキーは始めの根音が違えど構成音が全く同じになり、全てのキーにそれぞれ相棒や夫婦のような"ペア"が存在します。
先述の音程を思い出してみてください。

△が「全全全全全」。
mが「全全全全全」。

音階はそれぞれその先も後も延々ずっと繰り返し存在していますから、始点がズレているだけで△にせよmにせよ「全音が2回来て半音…全音が3回来て半音…」はどちらも同じルーティンです。ここが一致するキー同士が平行調になるわけです。

構成音が同じなのになぜ感じ方が変わるのか

ですが、ルート音が変わればそれに対してのそれぞれの音の性格や役割が変わってくるから。と、理屈で言えばこうなるのですが、イメージし難い方はコードも同時に考えてみてください。ベース(基準)の音があって、それに3度・5度と音が折り重なってハーモニーを構成する中で、その一つ一つの音のニュアンスが変わり、それをバックにメロディーを乗せるわけなので、たとえば極部分的に切り取れば同じ音程だとしても、全体像から捉えるとそれぞれの音の響き方が違ってくるのです。

つまり「主眼をどこに置くか」でその他それぞれの音の持ち場や性質が相対的に変わる、全てが常に「○○でもあり××でもある」状態という禅問答のような真理。メジャーキーなのかマイナーキーなのかはどちらかが絶対的な正解ではなく聞かせ方の演出次第なのです。


ペンタトニックスケールで見る平行調

ギターで説明してみましょう。ペンタトニックスケールとは「主要7構成音のうち5つだけを抜き出したスケール」という事は聞いた事があると思います。2段・3段飛びで階段を上り下りする感じでフレットをとばすアレです。ダイアグラム表(図)にするとこんな感じ。


1◎||・|・|◆|・|〇|・|〇|・|・|〇|・|◎|
2〇||・|・|〇|・|◎|・|・|◆|・|〇|・|〇|
3◆||・|〇|・|〇|・|・|〇|・|◎|・|・|◆|
4〇||・|◎|・|・|◆|・|〇|・|〇|・|・|〇|
5〇||・|〇|・|・|〇|・|◎|・|・|◆|・|〇|
6◎||・|・|◆|・|〇|・|〇|・|・|〇|・|◎|
弦開||1|2|3|4|5|6|7|8|9|10|11|12|


◎Eマイナーペンスケのルート音(ミ)
◆Gメジャーペンスケのルート音(ソ)
〇 Em/GM共通で使用する音
(略していくスタイル♪)


この通り役割が変わるだけでどちらも全て同じポジションなんです。基準のルート音(発着地点)が違うだけで全ての構成音がルート含めて全部一緒。つまり「EmとG△は平行調」でシンクロ率100%の絶好調ラブラブ恋人関係なのです笑。


平行調の探し方はポジションをずらして考えるとよく解ります。

スケールにおいてこのルートの相対的ポジションは変わりません。つまり表の「6弦3フレのG△」から3フレット下がった「6弦解放のEm」が恋人同士なのだから、ルートを(ポジションの形ごと)ずらして、例えば「6弦6フレのA♯m」さんにとっての彼氏は3フレット上がった「6弦9フレのC♯△」くんとなります。不変的に運命の相手が既に決まっているとかどんだけロマンチックかよです。


ギターのペンタトニックスケール


覚えやすく簡単に言えば、例えば、

マイナーちゃんは、メジャーくんの、1歩どころか3歩も下がって歩く古き良き女です。

とか、

Mr.Major は、Miss.minor の執拗なストーキング行為にさんざん(3)困っています。

とかでしょうか。


実践で考えるペンタトニックスケール

つまりこの
  • スケールポジションの並び(形)
  • △とmそれぞれのルート位置(根音)
これさえ体で覚えてしまえば、あらゆるキーでギターライクなメロディーやソロが奏でられちゃうのです。あとはズラして形に当てはめるだけ(※指板の音名は入っている前提です)。

無論、実践でより魅力的で個性ある演奏にするには和音を入れてリフぽくするとかチョーキングやスライド出来るポイントを探すとか、独特でそれぽい演出が必要になってきますが、少なくとも音程を大ハズシしないという意味では、例えばヴァイオリン風に強引にスケール上の全音符のビブラート全開でゴリ押しちゃうのも手っちゃあ手です笑。あぁGUITARってなんて素敵な楽器なんでしょう!


時々勘違いされている方がおられるのですが、

スケールポジションに対してのルート位置は変えちゃダメです。

ギターにはやっぱりメジャーとマイナーそれぞれそれぽい運指やフレーズもありますし、あくまでもこの形を変えずにずらして「メジャーなら◆、マイナーなら◎」を基準のルートに据えて成立する話です。

ギター講師バイトとかしてる先生とかでも稀にこの辺の説明が曖昧模糊にふんわりしてる方がおられます泣。まあね、ギター弾きは野性的直感重視でワイルドなニュータイプが多いですからね汗。

そもそも構造的に不完全なアナログ楽器で、逆にそこが最大の魅力でもあり。途中でプリング・ハンマリング・チョーキング・ビブラート・アーミングしまくりでどうあれ、

最後のブレイクジャーンで満面の笑顔で「解決です♪」ってやっちゃえば「おっ?おう…。」

って問答無用でむりくり納得させられちゃう位パワーある楽器ですけどね苦笑。


メジャーとマイナーのスケールポジション例

ついでと言っちゃあれですが最後に、スタンダードチューニングでの代表的なメジャーとナチュラルマイナーのギター指板スケールポジション例をダイアグラム風に書いてみます。「」を根音に据えた場合の音程相対位置です。

MAJOR Scale.

1弦|・|・|9|・|M3|11|
2弦|・|・|M6|・|M7|
3弦|・|M3|11|・|P5|・|
4弦|・|M7||・|9|・|
5弦|11|・|P5|・|M6|・|
6弦||・|9|・|M3|・|

Natural minor Scale.

1弦|・|・|9|m3|・|11|
2弦|・|m6|・|m7|・|
3弦|m3|・|11|・|P5|・|
4弦|m7|・||・|9|・|
5弦|11|・|P5|m6|・|・|
6弦||・|9|m3|・|・|


ちょっとフレット間隔ガビガビしてごめん苦笑けどこんな。例えばキーCなら6弦のRを8フレットに合わせて。より実践的に捉えるため「M2nd=9th」「4th=11th」(6度の13thはそのまま)で表記しています。スリーノートパーストリング(1弦3音)での一例ですので、音階の並びは当然これら以外にも前後左右に存在しています。まずはご自身が弾き易い形を探して覚えてみましょう。ちなみにこの左隣側のもう少しコンパクト目なポジション例もどうぞ。

MAJOR Scale Ver2.

1弦|・|M7||・|9|・|
2弦|・|・|P5|・|M6|・|
3弦|・|9|・|M3|11|・|
4弦|・|M6|・|M7||・|
5弦|・|M3|11|・|P5|・|
6弦|・|M7||・|9|・|

Natural minor Scale Ver2.

1弦|・|m7|・||・|9|
2弦|・|11|・|P5|m6|・|
3弦||・|9|m3|・|・|
4弦|P5|m6|・|m7|・|・|
5弦|9|m3|・|11|・|・|
6弦|・|m7|・||・|・|


それぞれルート音の1音階下と1音階上まで把握しやすいので、8分音符でも収まりが良くスケール練習しやすいポジションかと。ちなみに、メジャーとマイナーの型を分けて記載していますが、先述の平行調理論を基に根音(基準R音)を3フレットずらせばそれぞれの型が流用できますので確認してみて。(※後日「チャーチモードとスケールとコードの違いや雰囲気の覚え方」でより詳しく全音階を解説していますのでご参考に。)


NAC#'s Sharp Point.

なるべくシンプルに解り易く書いてみたつもりでしたがいかがでしょうか。この辺りは馴れというか暗記モノで恐縮なのですが、例えばアドリブソロなんかで一瞬迷子になったりしたとき、平行調を認識していれば「あぁだから迷ったのか」と理解しすぐ冷静に立て直せますし、敢えて平行調がわの対キースケールで雰囲気を意図的に作り変える事もありますので、ぜひ把握しましょう。それにペンタトニックスケールポジションを良く見るとほら、なんとなくコード(和音)フォーム(型)とも関係が深そうですよね~。その辺り「ケイジド(CAGED)システムで覚えるペンタトニックスケールの活用法」で深掘りしていますのでぜひ。

お時間許せば、スケール理論を和音に発展した「ダイアトニックコードとディグリーネーム変換」や、ギター構造基礎「ギター指板とチューニング基準音の覚え方」、長短転調等を具体的に感じて楽しむ「ギター循環コード進行例」なども併せてご一読どうぞ。