ピンクのZO-3と手の小さな女性の話
先日から知人女性にギターを始めたいからどれが良いかと相談されていて、色々とヒアリングしてあれこれ悩んだ結果、細めのネックでショートスケールと迷ったけど、敢えて
フェルナンデス ZO-3
を薦めた。
彼女の主な要望と要点をまとめると次の通り。
- ストレス解消に一人で何かしたい。
- 特に何が弾きたい等音楽的趣向は薄い。
- 予算は安いほど嬉しい。
- 昔一度試したが手がかなり小さく即断念。(確かに納得の小ささ。)
つまり友人とバンドを組んでセッションしたいとか、誰かの何かの曲をコピーしたいとか、目的をもって凄く情熱的にというよりは、「もう一度こっそりまったり始めてみよっかな?」くらいの比較的ライトな気分がありありと見てとれた。
それは別に悪い事じゃない。むしろどんどん気軽にギターを楽しんでもらいたいくらい。もし仮にぼくがギターの神様なら「よし、そんな正直者のお前にNAC#直伝スーパーギタリストスキルを授けよう。」とでも言ってやりたいくらいだ。
けれどそんな人智を超越した管理者権限の特殊コマンドなど使えるはずもなく、上手く弾けるようになるかどうかは本人の努力以外なにもない。
なら今の彼女の状況にとって一番大切なのは、
何より気軽に無理なく楽しめる
ことではないかと思えたのです。
FERNANDES ZO-3 とは
さして言わずと知れたカラフルでキュートな象さん風ルックスのアンプ内蔵ミニギター。色柄やデザインは極めて多岐に渡り、各種有名ブランドギターのディテールを盛り込んだパロディものや、くまモン柄などご当地もの的プリント、ゾーサンなのにキリンさん柄など笑、割り切った女子ウケ的可愛さでは代表格です。
おすすめポイント
として挙げられるのは、- 恰好良い系から可愛い系まで幅広く取り揃う豊富なデザイン。
- 極短スケールによるテンション(弦張力)の緩さ。
- 手の小さな女性子供でも握りこめる細いネック。
- なんなら旅行にでも持っていきたくなる軽さ。
- 電池駆動のアンプ内蔵でいつどこでも音が出せる気楽さ。
反面、
ウィークポイント
として当然、- 短いネックと小さいボディゆえ生音も出音も良くははい。
- ネックの細さは成人男性にはちと狭い。
- ギターって気さえしない貧相な弾き心地。
つまり明らかにギターが本来追及する楽器としての性能を完全にスポイルして無理くり成立させた可愛いおもちゃ。ただエレキと同じスチール弦が張れるだけの、あくまで Mini Guitar なのだ。
分かりやすく例えるなら…
「コンパクトマグネット将棋」とか、
「極小ミニトランプマジック」とか、
「小輪折り畳み自転車で長距離サイクリング」するみたいな。
ぼくも大昔Zo-3を持っていたけどすぐに全然弾かなくなったからよく解る。ピックアップがどうとかじゃなく、ゾーサンに新品の弦を張る事さえ勿体なく感じるくらいに、ボディに伝わる生音からして既にもうコシもハリも満足感もなくただただ頼りないのです。
でも、
それはあくまである程度経験値のあるギタリスト的視点であって、「新たに始めてみる」とか「音の良し悪しをこれから味わう」とかいうまだそこまでシビアな耳を持たないホビーライクなライトユーザー目線も在り得なくはないか。
薦めた理由
最も大きなポイントは冒頭先述した内の、- 掌の小ささ。
- 予算の少なさ。
正に本人が断念した理由を「手が小さい」と述べた。なるほど見るからに小さい。が、まだ体も手も小さな子供が大人用ギターを器用にガンガン弾きまくってたりもするので、個人的には決定的な理由とは考えてほしくない。ならば思うように弾けない理由は本当に手の小ささなのか自問自答の確認の意味も含めての
「こんな細くて小さいのもあるよ」
って知ってもらう事も一つのアプローチだ。それより何よりまず何でもいいから無理なく楽しく弾けるようになって欲しい。そのための物理的&精神的ハードルはひとまず低いにこしたことはない。技術の向上や音質の追及はそういう欲求が生まれたらで良いさ。弾けるようになればなるほど「もっといい音色で鳴らしたい」って自然と思うもの。
もう一つの「予算面とお手軽さ」。イマドキはスタンダードスケールの普通サイズでも1万円切るくらいからあるっちゃあある。けれど、どうもそれらチープな激安品に良い印象は全くなく。特に最も重要なネックとかペグとかブリッジまわり。エンドレスに狂い続けるチューニングとか、フレットの処理の雑さとか、ふにゃふにゃなネックとか、音とか以前に弾き心地が悪く場合によっちゃ痛くて怪我もする。し、音を出すとなるとアンプやシールドも揃えて弾くたびスタンバイしなきゃならないから手数もかかるし、それぞれ最も安価な価格帯でそろえてもまあ2~3万くらいにはなる。
結果全部入りで超お手軽なZo3とたいして値段も変わらないわけだ。
象さんなら、電池さえいれればスイッチオンでとりあえずじゃらんと音はでるし、ヘビーなゲージ(太めの弦)にステップアップすれば張りも多少ごまかしが効く。フェルナンデス社は詳しくないけどそれなりに長い日本メーカーだし悪い評判もあまり聞かない。実際ZO-3の製品精度の高さは本体1万円程度のソレとは雲泥の差な印象。他にも幾つかミニスケールはあるけど、スーパーロングセラーは伊達じゃない安心感なのだ。
ただし…
ある程度弾けるようになった頃には絶対スタンダードサイズのギターも欲しくなりますので、そのあたりはお覚悟を笑。
そんなこんな晴れてインド・ヒンドゥー教の神ガネーシャみたいなピンクのゾウさん笑を買った彼女。最初はなんとか頑張ってギターの魅力を楽しめるようになって欲しいと切に願うばかり。功罪も是非論もあるミニギターだけど、楽器は演奏者本人が素直にエンジョイできる事が一番でしょう。
薦めた責任とギタリスト再デビューのお祝いに、超渋いエスニック柄ストラップでも買ってやろう笑。
Later Postscript.
ピンクゾーサンに似合うストラップを探した結果
Pink ZO-3 に絶対ぴったりでイメージ通りの刺繍ストラップがあったので即ゲット。ホルダー先も細くなってるしぴったり。
どや赤と金のジャガード織り風味がまんまインディガネ様笑
喜ぶとええなあ。
その後…
無事渡せた後さっそく使ってくれてます♪。
想像通り!似合いすぎ爆笑!絶対このままインドのガンジス川沿いでストリートライブやるやつやろ(イメージ)。激しめのエスニックダンス踊りながら弾き語ってな笑。