FenderのOffset系ギターが良い気分


ぼく結構フェンダーが好きで、今時点ではそれ以外のギターは処分して持っていません。特別こだわっているわけでもないつもりなのですが、個体差による当たりハズレが少ない安心な高クオリティとか…出音が素直なトラディショナル系で調整しやすく薄化粧で使えるピックアップが多いとか…(※何れも個人的イメージ)あとはなんとなく


ロゴの雰囲気が恰好良くて気分がアガるとか笑


やっぱりアーティスト的にはイメージも重要じゃないでしょうか。普段の洋服だって色とか柄とか容とか気になるでしょ。超ストイックなスタジオミュージシャンとかだと製品性能や精度だけが全てって方もおられるでしょうし、そんなド根性なプロ意識ももちろん十分理解できますけど、仮に音楽を表現のアートや芸術と捉えて、そんな役回りの立ち位置も求められているのだとするならば、そういう「見られる印象」とか「自分の気分」といった情緒的なハートの部分も含めての演出意識や評価って確かにあるなあと。


で、


そんなこんないまFenderの中でも特に「オフセットなボディ」がとても気になっています。

オフセットシェイプギターとは

元々は、より人体にフィットするようにギターボディのウエストライン位置を非対称にしたり、座っても立った姿勢でも弾きやすく安定するよう重量バランスを取るために設計された、敢えて言わば、重りをつけた変形ボディシェイプ。抱えやすかったり左手でネックが下がるのを支えながら演奏しなくていいのは確かに大きな利点です。


が、


そんな理論や理屈めいた人間工学的力学設計よりも今はむしろそんな一見して特徴的に歪んだ格好良くもどこか力が抜けて可愛いカタチが単純にアイキャッチとして「なんか良い感じ」に見えるのです。

フェンダー社製オフセットボディの種類

は幾つかありますのでご紹介していきます。



JAGUAR(ジャガー)

Fender Jaguar

良い意味でも悪い意味でも笑一番印象的なのはやっぱり Jazzmaster の上位モデルとして発売されたジャガーじゃないでしょうか。24インチショート(フェンダーミディアム)スケールにフローティングトレモロユニットと専用ピックアップで他にはない独特なアタック感と出音を生む。複雑なコントロール部、金属プレートを多用したメカニカルなスイッチまわりの外観など、武骨でインパクトの大きいルックスも相まって常に賛否両論の飛び交う注目株。オルタナティブ系の代名詞のように言われますがジャンルを問わずコアなファンも多い人気者です。詳しくはフェンダージャガー使用ギタリストの愛器達でも。



Jazzmaster(ジャズマスター)

様々なタイプのジャズマスター

ベースデザインが良く似たJAGUARよりデビューが一足早いジャズマスター先輩。名前の通り当初ジャズギタリストに向け発売されたが、むしろもっと幅広い層に受け入れられている定番オフセット。コントロール系もジャガーと似ていますがローカット回路はなく、最も決定的な違いは25.5インチロングスケールネックである事。画像最上のジャズマスは唯一ストラトキャスター等と同じシンクロナイズドトレモロユニット(通常はJAGUARと同タイプ)を搭載しプレイヤービリティを向上させた American Performer シリーズ。ジャズマスター使用ギタリスト主要モデル5選の特徴もご参考に。



Telemaster(テレマスター)

その名の通り、テレキャスターとジャズマスターの融合イメージで2016年に限定発売されたUSA企画商品オフセットテレキャスターが人気を博し様々なインスパイアモデルが継続。ボディはジャズマス…、ネックとブリッジとコントロールパネルはテレキャス…、ピックアップはP90タイプを搭載…、と意外な組み合わせに感じるが、ボディ裏から弦を通すテレキャスタイプブリッジへの仕様変更が功を奏したか、粒立ちの良い音色とロングサステインを併せ持つ基本性能の高い魅力的な楽器に。亜種で「ジャズテレ」も存在する。



Powercaster(パワーキャスター)

Fender Powercaster

昨2019年 Alternate Reality Series として新たに発表されたパワーキャスターは先行のテレマスターをリファインしたような印象が強いが完全に刷新設計。ぱっと見のシルエットこそジャガー風味だが、TOMブリッジとストップテイルピースを採用しピックガードも独自デザイン。フェンダー社では珍しい25インチミディアムスケールネックに新開発のSH専用P/Uを搭載し高出力とトーンの多様性を両立させたニューフェイス。公式キャッチコピーコメントによると野獣らしいです笑。



Sixty-six(シックスティーシックス)

Fender Sixty-six

こちらも昨年 Alternate Reality Series の新コンセプトモデルとして発売。60年代発表のJazzBassボディを一回り小さくし6弦ギターサイズにフィットさせたシックスティーシックス。ストラト同様の6点シンクロナイズドトレモロブリッジを搭載したジャズベ姿が意外と新鮮なイメージ。パワーキャスターと同じく発売されたてでまだあまり見かけませんしレビュー等も極少ないですが、スペックディテールを見る限りロングスケールSSHのストラトに近いフィーリングを想像。



Mustang(ムスタング)

Fender Mustang

比較的スタンダードよりなスタイルですが、本体後側を延長し自然にストレッチさせたショートスケールの定番ギターがムスタング。独特な横長ボディシルエットが印象的です。出音の位相まで変えられる特殊なP/Uセレクターを有し、独自のトレモロシステムがマニアック・ギターの代名詞とも思える暴れ馬ぷり。キュートなルックスは女性にも大人気ですがぼくはこのギターを見るといつも「テンガロンハットを被りアメリカンマッスルカーに乗って炎の錬金術を使う少しこもった声のCharさん」が脳裏を過ります笑。



Swinger・Meteora 等

その他にも、スウィンガーとか、メテオラとか、オフセットぽい非対称シェイプのものもあるっちゃあるのですが、超個性的というか…近未来的というか…厳つくぶっ飛んでいるというか…個人的には奇抜すぎたりとんがったりの特殊なデザインはあまり趣味じゃないので詳細スペックやレビューが気になる方はどうか他所でお調べを。



興味の湧いたギターの魅力と本気で向き合う事が大切

どれも個性的で魅力的なギターばかりですよね。見た目だけじゃなく扱いも一癖も二癖もある事が多いOffset系Guiterですが、それが逆に自分の手に馴染んだ時の喜びもひとしお間違いなしです。ほら、誰にでもすぐなつく素直なコももちろん可愛いけど、


聞かん坊のやんちゃワンコをめっちゃ躾けて従順に懐いてくれた時の嬉しさと達成感はんぱねえぞ


みたいなやつ笑


それぞれに様々なシリーズがあり年代によってもネックやピックアップ・パーツ等の仕様が違う色々なタイプがあるので、ベストフィットする好みのモデルと出会えるときっとズキューンとかビビビッとかって感じですよね。(←※表現のレトロ感注意報発令中。)


むかし先輩に


迷ったらストラトにしとけ


って言われた深い意味が今とてもよくわかります。あれこれ迷ってるくらいならまず王道のスタンダードから知っとけっていう、癖が少なく総合的に万能で優秀な優等生でハズレないユーティリティ選手みたいな。だからこそ数多くの有名プレイヤーにも愛用され続けているのでしょうが、だからといって今のアナタにとってのベストチョイスとは絶対に言い切れません。

ギター選びって車選びに似てる

面もあると思います。しょっちゅう買い換える物じゃないし、その時その人に必要な性能や好みのデザイン、その時期のトレンド的な雰囲気もあるでしょう。機能的に多積載のミニバンじゃなきゃだめって人もいれば、シンプルに速さを追求したい人もいる。気分的に2シーターのスポーツオープンカーが欲しい人もいたりして、各々予算の価格帯の中から総合的にセレクトする感じ。


ギター選びには少なからずプレイスタイルや好みの音楽性にも影響する一面があるのですが、なにをさておき要はやっぱり自分自身が気分も気持ちも良くプレイできたほうがあらゆるすべてにおいてやる気もおきるし頑張れるでしょ。


ストラトタイプは確かに完成度の高いギターと思いますが、例えば、世の中の全員がベーシックなセダン車に乗るわけでもないですし、使うシーンによっても使い分けられます。それ以外の車に乗るライフスタイルが格好悪いとも思いませんよね。定番以外のギターがトータル性能で決定的に劣っているという事では決してなく、特徴やバランスの違いなだけで、ギタリスト的にはむしろそれを把握して使いこなせてなんぼでしょう。「初心者だから…」とか「レアでパーツ類が少なそう…」等あまり余計なアレコレ考えすぎずフィーリングを一番大切に好きなモデルを弾いて欲しいです。最も大切なのは、興味が湧いたギターと正面から向き合いその魅力を理解してあげる事かもしれないと感じていただけたらとても嬉しいです。


あ、でも、


車もギターもよく変える奴は浮気性?

とかそんななんの根拠もないあらぬ語弊を流布するのはやめましょうね。ギター持ち替えにくくなっちゃうので笑。

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