音楽テンポBPM - 音符msec計算方法(ディレイ編)

ミュージシャンなら BPM を理解していると思いますが、一般人や楽器始めたての初心者などは「曲の速さ」と漠然とイメージしているかもしれません。音楽の分野で共有される世界基準の値なので正しく把握しておこう。


アナログ時計の秒針


BPMとは1分間の拍数

「拍子」とは音楽のリズムの事ですが、この拍が1分(60秒)の間に何回刻まれるかを基準としたテンポが文字通り BPM (Beats Per Minute) です。これはその曲がたとえ3拍子や5拍子あるいは変拍子が混ざった曲でも変わりません(※途中でBPM指定自体を変える場合はあります)。「テンポ」というのはクラシックなどで使われる「アンダンテ(歩くような速さ)」などの速度標語やもう少し広義なニュアンスで使われることが多く、現代音楽では「TEMPOを数値化した基準がBPM」と捉えるのが最も正確な理解です。一般的には医学における心拍数や脈拍数の方が馴染み深いかもしれませんね。



四分音符msec時間の算出方法

BPMが分かれば、必然的に1拍の時間的長さも確定します。通常DTMや打ち込み等での制御や同期では 1000/1秒ミリセコンド (msecMSなど) 単位で表されます。ギタリストならディレイタイム設定などで使う事も多いでしょう。

計算の仕方(msec)

は極簡単で、

  • 60000 ms (1分) ÷ BPM =1泊の長さ

です。これが四分音符の一拍の長さ(ミリセコンド)ですので、その他の音符の場合はここからさらに、

  • 付点四分:1.5倍
  • 付点八分:0.75(3/4)倍
  • 八分音符:0.5(1/2)倍
  • 付点16分:0.375(3/8)倍
  • 16分音符:0.25(1/4)倍

…となるわけです。



楽曲の演奏時間算出方法

BPMや拍の速さが決まるという事は、楽曲全体の演奏時間も決まります。仮にその曲が「BPM=100で四拍子120小節」構成だとすると、

  • 600 (1拍) × 480 (総拍数) ÷ 1000 = 288秒

となります。式中の「÷1000」は単純にミリセコンドを1秒単位に戻しているだけ。前述の通り 1分=60秒=60000ms ですので当該曲は「4分48秒」の曲という事になります。実際の再生時間としては演奏前の無音部分やフィナーレの減衰時間なども加わるでしょう。



ディレイタイム設定方法

BPM関連の参考情報ですが、ギタリストブログなので話の流れで主にエレキギターのソロなどで使う事が多いエフェクター「ディレイ」に関して一般的な時間設定のセオリーをご紹介します。楽器のみならずボーカル等でも基本は同じです。


ZOOMマルチエフェクターG11

ディレイとは

抜けの良い山でヤッホー叫ぶとやまびこが帰ってきますが、あれと全く同じエコー効果が作れるエフェクトペダル。どんなギター用マルチエフェクターにも必ず入っている大人気モジュレーションですが、使い方を正しく理解し設定できていない人も少なからずおられます。

同期やガイドクリックを使わずバンドでライブ演奏をする場合などテンポが安定せず仕方がない場面もありますが、ディレイタイム設定が曲のテンポとズレているとドラムのリズムキープを邪魔したり、バンドのグルーヴ感を削いだり、せっかく手間とリソースを割いた装飾も逆効果で違和感や不快感の元となりムードぶち壊しになってしまう事もありますので、常に意識しアバウトにでも極力合わせるよう心掛けましょう。


設定項目

ディレイにも様々な種類や特性を持つものがありますが、共通している主な項目は、

  • タイム(繰り返す間隔)
  • フィードバック(減衰時間)
  • ブレンド(原音に対する音量)
  • フィルター(音色調整)

あたりでしょう(※メーカーやモデルでネーミングは様々あります)。ここで最も重要になる要素が繰り返す時間間隔の「ディレイタイム」で、入力音源に対してどのくらいのタイミングでやまびこを返すかの設定です。ほとんどの機種がミリセコンド単位での調節になります。音量バランスなどその他の項目は曲調や狙う効果やお好みで比較的自由に設定して良いでしょう。


四分や八分で返すのがナチュラルな使い方のコツ

楽曲のBPMに対して、四分音符か八分音符でシンプルに返すのが最もナチュラルでベーシックなディレイの使い方です。先述の音譜♪msec算出方法を元にパッチごとに想定時間を設定するか、随時テンポ調整できるタップテンポ機能付き機材であれば四分・八分・十六分といった音譜指定での設定も可能です。

他にもごく短いショートディレイでダブリング効果を生む音色変化的な使い方や、付点系のピンポンディレイでよりフレーズを複雑に聞かせたりする凝った演出など、使い方でニュアンスや雰囲気を変えられますのでぜひ色々試してみましょう。


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