ギターコードトーンとスケールの違いを意識した覚え方
ギター演奏練習の方法論として、有名楽曲やフレーズ等のコピーから始める方が多いと思いますが、平行して音楽理論的な解釈も学んだ方が楽器のみならず音楽そのものへの理解もより深まります。つまり「練習がただの運指の暗記で終わるのではなく、なぜその時そう弾いているのかを常に解析する」ことが楽器上達においては大変重要です。
音楽家・演奏家としての理解度と対応力を向上させ深める事で、例えばカバー楽曲でも自パートを覚えきらずともコード進行さえ把握できればある程度対応できるようになったり、例えばオリジナル楽曲でリフやオブリガードなどのフレーズアレンジやアドリブでのソロ等が簡単に演奏できるようになりますので、少々面倒と感じられるかもしれませんがトレーニングとアナライズは常に同時に考え学ぶ事を強くおすすめします。
過去に「ケイジド(CAGED)システムで覚えるペンタトニックスケールの活用法」なども紹介していますが、今回は特にコードトーンを把握しスケールとの違いを意識する覚え方のコツ一例を。
コードトーン一覧表
音楽のハーモニー要素としての和音は、ルート(1度根音)に対して3・5・7度がコードトーン、その他テンションノートとして9・11・13度となりますが、まず意識すべきは基礎的な四和音です。ギターコードフォームの型は様々ありますが、一般的な例をピックアップして図解説します。別途「ギターコードスリーノートセブンスボイシング」もご参考にどうぞ。
メジャー7コードの構成音
R1st_M3rd_P5th_M7th 。
セブンスコードの構成音
R1st_M3rd_P5th_m7th 。
マイナー7コードの構成音
R1st_m3rd_P5th_m7th 。
m7♭5コードの構成音
R1st_m3rd_♭5th_m7th 。
四和音の構成音を把握しよう
このように、基礎的四和音の各コードは1・3・5・7度の組み合わせ方で変化しています。逆に言えば例に挙げたいずれのコード型も最大4種類の音しか鳴らしていない事が分かります。コードフォームをただの型として押さえ方の形だけ覚えるのではなく、ルート音に対しての相対的なインターバルがどんな価値の音なのかを把握すると応用も可能です。基礎コードの構成音は次の通り。
根音(R1)に対しこれら6種の音が基礎的なコードトーンですが、メジャーコードに対して、3rdと7thが短だとマイナー系コード、さらに完全5度が♭するとハーフデミニッシュ、7thのみが短七度だとセブンスコードに変化する事が分かりますね。( 注※ 概ね共通の完全5度「P5」は根音に厚みを加える役割の音なので省略しても成立しますが、m7♭5の減5度「♭5」は必要な特性音です。)
スケールポジションの音程一覧
次に少々視点を変え、スケールポジションの音程をギター指板図で見てみましょう。主音ド(C)を基準にした、メジャーとナチュラルマイナーそれぞれ5弦6弦トニックの一覧図解です。各ブロックにある四角枠の目印は1-3-5度の三和音(トライアド)構成音ガイドです。スケールの詳細解説は「チャーチモードとスケールとコードの違いや雰囲気の覚え方」などもご参考になると思います。
メジャースケール5弦トニック
Cイオニアンとも呼ばれるCメジャースケールの5弦トニックブロック例。
メジャースケール6弦トニック
同じくCメジャースケール6弦トニックブロック例。
マイナースケール5弦トニック
E♭キーでもあるCナチュラルマイナー(エオリアン)スケールの5弦トニックブロック例。
マイナースケール6弦トニック
同じくCナチュラルマイナースケールの6弦トニックブロック例。
コードフォームとスケールポジションを重ねてイメージする
それぞれスケールポジションとしてはこうなっているわけですが、図の中の四角枠で囲った音に注目するとメジャー&マイナーそれぞれのコードフォームが浮かび上がっていると思います。つまり、先述5・6弦ルートの各三和音コードトーンの周囲にこれらのスケールポジションが広がり配置されている事がよく分かります。コードを弾きながらのオブリ挿入等では特にコード型周囲のスケールを使う事が多くなるので、スタンダードなこの辺りの音価を覚えておくとあらゆる場面で対応力が向上します。
練習方法例
各コード(和音)型からその周囲に広がるスケール(音階)とそのインターバル(音程)をイメージできるようにすることで発展形のテンションコード等やそれにマッチするキャラクターノート、フィットするメロディ、アドリブやリフなどギターライクなフレーズを導きだすことも出来ますので、各ポジションと同時に度数の把握が出来るようトレーニングすることで音楽的な理解度も更に深まります。
練習方法は様々ですが、常にコードとスケールとインターバルを連動させたイメージを持つ意識が大変重要なポイントです。
例えばコードを鳴らした直後、その周囲の当該スケールを弾くなどしてみましょう。弾く場所を間違えたら響きの違和感ですぐに気がつくはずです。少なくともトニック含め各コードを構成する4和音の場所を把握し、そこから周囲の音階を導き出せるようになれば、
- 「完全四度を加えたsus4」
- 「長六度を加えた6th」
- 「長二度を加えた9th」
など発展形も補足するだけでより簡単に使えるはずです。当然「ペンタトニックスケールの種類と使い方」や「ペンタに1音足してアドリブソロフレーズの幅を広げる話」などにも応用できます。
NAC♯'s practices guitar at stay home!
検索などでダイレクトにこの記事に訪れていただいた方はある程度意識高い系の読者だと思いますが笑、今回の話はギタートレーニングとしては少々高度な(中級者以上?)レベルかもなのですぐに上手く出来なくても全然気に病むことはありませんよー。まずは理解を深める事で課題が明確になりますし、部分的に少しずつでも確実に地道に鍛錬を続けるマインドが大切で最大のコツでもあります。昨今は自粛しろだのステイホームだの真っ直ぐハウスだの補助金オアズケだのと
「わしゃ犬か」
って気分で少々滅入っちゃいますが、せっかくの夏なので夏休みにギター猛トレーニングする高校生みたいなノリでメンタル切り替えて焦らずのんびり頑張ろう!
後日「ギターフレーズに活かすコードトーンの使い方」追記ありますのでご参考になれば。その他ギタリスト音楽論や、ギター&機材談話はこちらにまとめていますのでお時間許せばぜひどうぞ。ほなまた。