ギターフレーズに活かすコードトーンの使い方


過日「ギターコードトーンとスケールの違いを意識した覚え方」でコード進行に合ったアドリブギターソロやメロディーはコードトーンの把握が重要とご紹介しましたが、今回はギターフレーズでのより具体的な使い方のコツやポイントの話を。ベースももちろん他の楽器やアドリブハミング・スキャット歌唱なども理屈は同じですのでよければご参考に。


Code Tone 357

表紙的な写メにさして深い意味はありませんが笑、練習後にやる一杯控えめに言って最高な。



コードトーンだけでは良いギターソロには成り難い

まず重要な基礎のおさらいですが、コードトーンとは曲の各コード構成音を指し、それらはコード進行に伴い常に変化し続けています。


△7 : R1 - M3 - P5 - M7
7th : R1 - M3 - P5 - m7
m7 : R1 - m3 - P5 - m7
m7b5: R1 - m3 - ♭5 - m7
(dim7:R1 - m3 - ♭5 - M6)


ディミニッシュ7(厳密な音楽理論的にはM6=減七度)は短三度を重ねる少々特殊な音使いですが、基礎的なダイアトニックコードの構成音はこうなっています。が、これだけを順に弾き鳴らしたところでそれはただのアルペジオですのでバッキングパートとしては成立し得ても聴き惚れる様な良いギターソロフレーズとは言い難いでしょう。(※絶対ダメではありませんし短いオブリガード的な1フレーズなら別話です。)


スケールの中でのコードトーン把握がポイント

そこで重要になるのが、コードトーンをスケールの中の一部として把握する認識です。スケールに関してはチャーチモードスケールな解釈もありますが、最も一般的な代表例としてメジャー(イオニアン)スケールとナチュラルマイナー(エオリアン)スケールのギター指板ポジション図で解説してみます。


メジャー(イオニアン)

5弦ルートのメジャースケール図

6弦ルートのメジャースケール図


ナチュラルマイナー(エオリアン)

5弦ルートのマイナースケール図

6弦ルートのマイナースケール図


画像中の色着き音が各コードトーンですが、それぞれその周囲にその他のインスケール構成音である

テンションノート

  • 9th(二度)
  • 11th(四度)
  • 13th(六度)

が展開されます。テンションのインターバル(ポジション)はそのコードが何度のダイアトニックスケールか(何モードか)によりますが、コードトーンに関してはドミナントセブンスとハーフディミニッシュ以外のメジャーとマイナーなら各々共通です。つまり、これらテンションノートの取り入れ方がセンスを醸すポイントであり腕の見せ所とさえ言えるかもしれません。メロディーラインとして織り交ぜたり、テンションからコードトーンへクロマチックで滑らかに移動したり、ジャズ系などであればコードトーンの挟み込みアプローチなどもいかにもそれらしいでしょう。少々感覚的な表現で恐縮ですが、

コードトーンとその他の音使いは概ね半々

位のイメージで良さそうです。展開的に重要なポイントやフレーズの始点や終点では意識してコードトーンを極力使うくらいの。少なくとも「ずっとコードトーンだけを追い続ける」ような強迫観念のような感覚は練習以外では改めた方が良いでしょう。そう考えると改めてペンタトニックスケールの偉大で絶妙な完成度を改めて痛感しますね。ソロフレーズ構築のコツというほどではないかもしれませんが、慣れるまでまずは

3rdや5thで弾き始め7thや9thで終わる

と自然でまとまりやすいです。ルート(コード根音)に対してのサード音は長短を強く醸す役目の音ですのでコード感が最も伝えやすく、フィフスはメジャーマイナー問わずパワーコードのように根音との馴染みが良い。セブンスやナインスは飾りっ気が強いのでお洒落で野暮ったくなりにくい印象です。注意点を付け加えるなら、音楽ジャンルにもよりますが

ルート音はあまり多用しない

方が得策かもしれません。バンドであれば既にベースが単音で弾いている場面も多いですし、特にフレーズの始めや終わりのような目立つ場所で使うと泥臭いブルースやロックにしか聞こえなくなります。日本で言えばド演歌的なクサさ。おまえどこのキングだよってクラシカルな感じで個人的には大好きですが笑 相当シンプルというか、リズムや音色など他に聴かせたい要素を引き立てるための雑念減らし以外あまり今っぽいお洒落な弾き方とは言い難いものがあるのでせいぜい経過音で使う程度に止めておいた方が無難でしょう。



カッティングや複音フレーズのバリエーション

例えばカッティング(ストラミング)奏法で言えば、ベタなルート(根音)込みの3和音ではなく、意図してルートを抜いた3・5・7度なども複音バリエーションとしてとても有効ですし、なんならキーさえ把握し転調していなければバッキングコードが変化してもモーダル解釈で様々な形でフィットするパターンが多いので1コード内での変化をつけたボイシングアレンジにも有効です。


ギター指板全体図

さらにいえば、上図メジャー()で言えば長7度を半音下げ短7度にすればドミナントセブンス対応で、マイナー()で言えば完全5度を減5度にしちゃえばm7♭5対応になるわけです。この辺を実践的に使うためにもCAGEDシステムを使ったギター指板の把握やコードフォームを様々な型で理解するのが重要ですね。



NACギターの歌わせ方はそこじゃなく感じる話

散々理論解説しておいて最後にしてこういっちゃなんなんですが笑、コードトーンを追いかけるとか、ドミナントモーションでオルタードスケールを使うとか、そういうセオリーやプレイアプローチはあくまで音楽理解の基礎でありお決まりの技術的表現手法なだけであって、


そこに感情は宿らないと思うのですよ。


カテゴリーや曲調にもよりますが、そういう定型文や決め事は音楽的構成の成立と「こういうお約束でしょ当然解ってはいるんですけれどね」って最低限申し訳程度リスナーにふんわり伝わりさえすれば、本質大事なのは別にそこじゃないというか、むしろ気持ちを伝えたいというか、もっとエモーショナルに



ロングトーンでぐわ~んとしたい
とか
消えゆくかすれた音を揺らしたい
とか
ノリノリでリズミカルに刻みたい
とか
スキップみたいに音階飛ばしたい


とかわかんないけどそういう素直な気持ちの表現の部分?歌心が大事みたいな。ボーカルでも気持ちが乗った時に思わず声が震えたり上ずったりあるわけじゃない。大外れしない範囲での漏れ出ちゃう微妙な感情の歌いまわし。ギターだって気分上がって例えばベンドがちょいシャープしちゃったってそこに気持ちが入ってればぼくは大アリだと思うのね。むしろギタリストの高揚が伝わってスリリングだったり倍音ぽく気持ちよく聴けたりする。モダンジャズぽいインテリな噺家のような徹底的に計算しつくしたクールな魅力ももちろんあるけどそれもあくまで音楽の多種多様の一面よね。コードトーン追うの必死になるのは練習だけにして特にソロではギターを歌わせる意識を持つ方が結果的には吉かと。そのへんのコツはエモくていなたいギター鳴り考察でもかいたかも。やっぱ心の底から湧き出る感情の演出が音楽の重要な要素であるわけだから


楽しさだけじゃなくも伝えたいじゃない。


おっと気持ち悪くなってきたのでほなまた。




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