ローコードセブンスフォーム


ギター弾き始めの初心者さんはきっと教則本などでローコード表から学ぶ事が多いと思います。「Low(低い)Code」とはネック先端寄りの低フレット辺りで弾くローポジションコードの事で「Open(開放)Code」とも呼ばれ、弦を押さえず鳴らす開放弦音を含む和音ですが、初級向けだとまず3和音フォームが紹介されている事がほとんどです。

ハイ(バレー)コードと比べて押弦箇所が少ない事も多いため簡単に押さえやすく、かつ開放弦を混ぜた独特で豊かな鳴り響きも大きな魅力で、ギタリストとしては可能な限り積極的に取り入れていきたい特別な要素といえますが、

ロー(オープン)コードにも7th音を含む4和音の押さえ方もある事が意外と見落とされがちです。

そこで今回はローポジションで押さえるセブンスコードフォームを紹介し解説します。弾き語りなどでのニュアンス変化はもちろん、楽曲の雰囲気やボーカルメロディーとの調和などで状況に応じたボイシングの使い分けバリエーションが増えるとより一段と音楽的な演奏が可能になりますのでぜひ覚えておきましょう。


Low Position Seventh Code Form


オープンセブンスコード一覧

以下各図の左数字が弦種で右英字が音名、記号は下記の通りです。

  • ◎=開放弦
  • 〇=押弦
  • X=ミュート(消音)
  • △=根音以外のコードトーン例



Cメジャー7th


Cメジャーセブンスコードフォーム

1|◎|-・-|-・-|--|E
2|◎|-・-|-・-|-・-|B
3|◎|-・-|-・-|-・-|G
4|・|-・-|-〇-|-・-|E
5|・|-・-|-・-|-〇-|C
6||-・-|-・-|-・-|E

一般的なCメジャー3和音フォームから人差指を放すとCM7になります。6弦解放は1弦解放や4弦2フレット同様コードトーン長三度音なので親指側面でのミュート等が望ましいですが、鳴っても転回系解釈できるのでさして邪魔にはなりません。画像ではトップノートとなる1弦3フレットGソを小指で押弦していますが、ここはCに対しての完全5度音なのでルートと併せて流れや場面でボイシングをチョイス可能です。



Dマイナー7th


Dマイナーセブンスコードフォーム

1|・|-〇-|-・-|-・-|F
2|・|-〇-|-・-|-・-|C
3|・|-G#-|-〇-|-・-|A
4|◎|-・-|-・-|-・-|D
5|△|-・-|-・-|-・-|
6|X|-・-|-・-|-・-| 

1~3弦がバレーコードFと同じ押弦になるDm7です。4弦開放がルート音Dレ、5弦開放△は完全五度Aラなので厚みの有無などでもチョイス可能、6弦開放×はノンコードトーンである9thEミなので基本はミュート必須。ちなみに、3弦2フレットAラを半音下げG♯にするとDm7♭5になります。この場合5弦もミュート必須です。

Dメジャー7th等

 1|・|-・-|-〇-|-・-|F#
 2|・|--|-〇-|-・-|C#
3|・|-・-|-〇-|-・-|A
4|◎|-・-|-・-|-・-|D
5|△|-・-|-・-|-・-|A
6|X|-・-|-・-|-・-| 

さらに4弦開放Dレを根音とするコードのバリエーションとして、D△7やD7も同じ場所のオープンコードで弾けてしまうので、便利でオイシイポジションと言えます。1~3弦の2フレットをセーハでDメジャーセブンス。2弦2フレット長七度C♯だけを1フレット短七度CドにするとDドミナントセブンスです。



Eマイナー7th


Eマイナーセブンスコードフォーム

1|△|-・-|-・-|--|E
2|◎|-・-|-・-|-・-|B
3|◎|-・-|-・-|-・-|G
4|◎|-・-|-・-|-・-|D
5|・|-・-|-〇-|-・-|B
6|◎|-・-|-・-|-・-|E

通常Eマイナー3和音フォームの4弦2フレットEミを開放DレにするとEm7です。1弦開放も6弦開放と同じくルート音Eミなのでトップノートさせたくない場合はミュートするか1弦3フレット短三度Gソで回避。



Fメジャー7th


Fマイナーセブンスコードフォーム

1|◎|-・-|-・-|-・-|E
2|・|-〇-|-・-|-・-|C
3|・|-・-|-〇-|-・-|A
4|・|-・-|-〇-|-・-|E
5|X|-・-|-・-|-・-| 
6|・|--|-・-|-・-|F

過日ご紹介した「スリーノート7thコード」の拡大版といえるFM7です。6弦1フレットFファの押弦は人差指でも親指でも可。ただし、この型を流用しハイポジションへ移動した他の根音で弾く場合で人差指押弦時は1弦はミュートせざるを得ないので、トップノートのアレンジ方法として1弦長七度を人差指で押弦できる6弦親指押弦でも弾けるようにしておきたい処。



G7th


Gセブンスコードフォーム

1|・|-〇-|-・-|-・-|F
2|◎|-・-|-・-|-・-|B
3|◎|-・-|-・-|-・-|G
4|◎|-・-|-・-|--|D
5|・|-・-|-〇-|-・-|B
6|・|-・-|-・-|-〇-|G

通常Gメジャー3和音フォームの小指1弦3フレットGソを人差指で1フレット短七度FファにするとG7になります。4弦開放は当コード中唯一の完全五度Dレ音なので、パワーコード等でも用いられるP5音特有のポップさを薄めより音種を減らした響きにしたい場合代わりに3フレットFファを空いた小指で押弦。尚、オープンG型ベースでは1弦1フレットのみが短七度Fファですので、半音上げ1弦2フレット長七度F♯にすればGM7になります。



Aマイナー7th


Aマイナーセブンスコードフォーム

1|◎|-・-|-・-|--|E
2|・|-〇-|-・-|-・-|C
3|◎|-・-|-・-|-・-|G
4|・|-・-|-〇-|-・-|E
5|◎|-・-|-・-|-・-|A
6|X|-・-|-・-|-・-| 

マイナーセブンス5弦ルートバレーコードフォームをそのままローポジションオープンコードにしたのがAm7です。ただし6弦が人差指頭でミュートしにくくなるため、画像のように2弦1フレット短三度Cド音を人差指で、4弦2フレット完全五度Eミ音を中指で押さえると親指で消音しやすくなります。1弦3フレットは3弦開放と同じ短七度Gソなので、4弦2フレットと被る1弦開放完全五度Eミのトップノートのバリエーションで適宜セレクト。

Aメジャー7th等

1|◎|-・-|-・-|-・-|E
 2|・|-・-|-〇-|-・-|C#
 3|・|--|-・-|-・-|G#
4|・|-・-|-〇-|-・-|E
5|◎|-・-|-・-|-・-|A
6|X|-・-|-・-|-・-| 

補足ですが、同じ原理でAメジャーセブンスやAドミナントセブンスの5弦ルートバレーコードフォームも開放ポジションで再現可能です。(※A△7はハ長調のダイアトニックコードではないため♯付音が入っています。)A7の場合は上図の3弦1フレG♯を開放Gソにします。



Bマイナー7th♭5


Bマイナーセブンス♭5コードフォーム

1||-・-|-・-|-・-| 
2|・|-・-|-・-|-〇-|D
3|・|-・-|-〇-|-・-|A
4|・|-・-|-・-|-〇-|F
5|・|-・-|-〇-|-・-|B
6||-・-|-・-|-・-| 

オープン(開放弦)コードではないのですが、せっかくここまできたのでハーフディミニッシュとも呼ばれるBm7♭5も流れついでに笑。

  • 2弦短三度Dレ音
  • 3弦短七度Aラ音
  • 4弦減五度Fファ音
  • 5弦ルートBシ音

と重なっており、1弦は小指や薬指の腹など、6弦は人差指の頭や親指などで触れミュートします。同じフォームで2フレットずつ下げオープンコードにして弾くとAm7♭5にはなりますが、の余弦ミュートが物理的にかなり難しくなるので現実的には他ポジションでの押さえ方になるでしょう。オープンコードで弾けるマイナーセブンスフラットファイブは

  • 4弦ルートのDm7♭5
  • 6弦ルートのEm7♭5

くらいですが、そもそも減五度がインパクトの強い少々特殊な響きのコードですので、音圧などフルで弾く事にあまりこだわらなくても良いコードと言えるかもしれません。




NACギターコードは構成音を意識するべきと心底思う件

ひとまずダイアトニックの流れで一通りご紹介してみましたがいかがでしたでしょうか。ギターの開放弦の音色ってフレット押弦で鳴らす音と微妙に違って特有の気持ち良さがありますよね。開放を含めた和音は他にもまだありますが、コードにしろフレーズにしろ開放弦を絡めると発音に艶や深みが増したような豊かな響きが生まれるので、レギュラーチューニングの開放音階

  • 1弦Eミ
  • 2弦Bシ
  • 3弦Gソ
  • 4弦Dレ
  • 5弦Aラ
  • 6弦Eミ

は常時把握し隙あらば積極的に鳴らしましょう。既出ですが6弦側から

開放弦音階の覚え方は、

EADGBE「家で地ビール」飲んでたら、
ミラレソシミ「見られそうなシミ」見つけた感じです笑。

これだけローコードのバリエーションを使いこなせればコードストロークプレイとしては脱初級者と言えるでしょう。ギター指板とチューニング基準音の覚え方もご参考に。

またコードのフォーム(型)だけ覚えるのではなく、ルート(根音)に対してコードトーンがどこにどんな音程で構成されているかを意識し把握する事でコードアレンジの対応力が上がるのはもちろん、オブリガード挿入やアドリブ演奏などでも大変重要なヒントでありフレーズ構築の道標となりますので、

などをご参考に、常に今自分がどんな音を奏でているかを考えるようにするのが楽器上達の最大のコツと言えるでしょう。

ギター指板上における音程の把握と音名のリンク

は相当に厳しい修行のような険しい道のりですが、一度覚えてしまえば音楽ジャンルや演奏スタイルに関係なくギタープレイヤーとして最も重要な礎であり基礎知識財産となりますので、自分のためにも目を逸らさず避けずに少しずつでも頑張ろう!

他人を応援するフリしながら自分自身も鼓舞するスタイルのNAC♯




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